保育観の違う保育士と上手に仕事をするポイントと、私が考える譲れない保育観

保育に携わる人であれば、誰でも聞いたことがあるだろう「保育観」

ですが、具体的にどのようなことを指すのかをご存知ですか?

この記事では、保育観とは?という基本的なことから解説しつつ、『保育観の違う保育士と一緒に仕事をするのが辛い』という悩みを抱えている保育士さんや幼稚園教諭さんのために、保育観の異なる先生と、上手に仕事をするポイントを紹介します。

面接で保育観が重視される理由や、筆者が考える保育観についても意見を述べているので参考にしてください。

保育観ってなに?

保育観とは、保育を行う上での自分の考えや価値観など、自分の目指す保育を指します。

最初に覚えてほしいのは、保育観に正解はなく、保育士の数だけ存在するということです。

保育士自身の性格や育った環境、受けてきた教育や習い事によっても違ってくるので、全く同じ保育観をもつ保育士というのは存在しません。

例えば、子ども同士がオモチャの取り合いをしていたとき、保育士によって対応の仕方が異なります。

  • 保育士Aは、どうしてオモチャの取り合いが起こったのか、まずは原因を探る
  • 保育士Bは、取った方が悪いと考え、叱る
  • 保育士Cは、どちらにも言い分があると考え、両者の話を聞く

同じ事例でも保育士によって対応が様々です。

ですが、「子どものために」という思いは共通しているのです。

「子どものための最良の保育」が保育観ですが、保育士が10人いれば10通りの保育観があり、この違いが仕事をやりにくくさせていると感じている人も多いのです。

保育観の異なる保育士と、どう仕事をしていくべきなのかを次に述べていきます。

保育観の違う保育士と上手に仕事をする4つのポイント

① 相手の保育観を吸収する

保育は一人では行えないので、相手の考えを真似て、吸収し、よりよい保育を実践していくことも必要です。

自分一人だけの考えではどうしても偏りが出てくるため、人の意見が求められる場面は多々出てきます。

経験年数の長い先輩保育士からノウハウを学び、それが結果に結びつくことも多いはず。

価値観の違う相手の意見を取り入れることは安易ではありませんが、子どもたちのためにも柔軟に物事を考えることが大切です。

② 譲れない保育観は変える必要はない

自分の信念に基づいて行っている保育観は、とくに変える必要はありません。

根本的な自分の考えを変えてしまうのは、大袈裟かもしれませんが、これまでの自分の生き方を否定してしまうことにもなります。

「どうしてもこれだけは譲れない!」という考えがあるのは立派なことなので、変える必要はありません。

③ 暗黙の了解はしない!本音で話し合い目的の軸を決める

複数担任で他の保育士と一緒にクラスを受け持っている場合は、本音で話し合う機会を設けたいですね。

『それはおかしい』『こうした方がいいのでは?』と不満を抱えたままでは、子どもたちのための保育はできません。

ですが、お互いの考えや意見を出し合うことで、目的に沿った最善の方法が見つかるはずです。

また、『先輩保育士の言うことは絶対』『担任保育士の考えで動いていく』といった暗黙のルールが存在する園は数多くありますが、誰か一人の意見のみで運営できるほど保育は簡単ではありません。

少しでも疑問に思うことがあれば、解決に向けて意見交換する場を積極的に作ることが大切です。

④ 園長との保育観がどうしても合わない時は転職も考える

園長の保育観が保育方針として反映されている保育所は多いです。

もしも、園長と考え方が合わない場合、その園で働き続けることは相当な苦痛を伴います。

園全体の保育方針と考え方が異なれば、毎日働くのはかなり辛いことです。

ですので、園長との保育観がどうしても合わない場合は、早めに見切りをつけることも大切です。

失敗しない就職・転職にするために大切なこと

園の方針と自分の保育観が合っているか確認

自分の保育観、園の保育方針をリサーチしておくことをオススメします。

例えば、

リトミックやピアノが得意で、音楽に力を入れている保育園に就職した場合や、子どもたちの個性を尊重した保育がしたくて、伸び伸びと自由遊びの時間を多く取り入れている保育園に就職した。

これらは自分の保育観と園の方針が合致しているため、非常に働きやすい環境です。

反対に、音楽分野が得意なのに運動遊びに力を入れている保育園に、伸び伸びとした保育が好きなのに細かく制限があり、自由遊びの時間がほとんどない保育園に就職した場合は、園そのものの方針と自分の保育観にズレが生じています。

失敗しない就職、転職にするためにも、自分の保育観を明確にしておきましょう。

どんな保育をしているか実際に見学する

実際に見学に行くと、その保育園の雰囲気や子どもの様子、職員の動きなどが直接確認できます。

どんな分野に力を入れているのか、一般的な行事の他にはどんなイベントや催しを行っているのか、などの確認も園長に確認できますよね。

実際に働いてみないと分からない内部の様子があるように、求人サイトや保育園のホームページなど、ネット上だけの情報では実際にどんな保育をしているのか分かりません。

立地や給料などの待遇面だけで就職先を決めると後悔することがあるため、可能であれば、実際に自分の目で保育園の様子を見ることをオススメします。

保育士の面接で保育観が重視される理由

面接で保育観を問われる理由は

『保育観を問われる』=『どんな保育をする人なのかを確かめている』

ということ。

おおよその保育観が分かれば、『どんな保育ができるのか?』『こういった保育に期待がもてる』など、採用後の視野が広がるため、保育観は面接時にも重要視されています。

面接の段階では、実際にあなたの保育士としての働きぶりを知っているわけではないので、あなたがどのような保育をするのかが園側は分かりません。

つまり、園の方針と保育観が合うかどうかも確認しているのです。

保育観を聞かれたとき、しっかり答えられなかったり、まとまりなくダラダラと話してしまっては面接官の印象が下がってしまいます。

面接で好印象を与えるためにも、「保育をする上で何を一番大切にしているのか?」を基準に考えて答えるようにしてみてくださいね。

私が考える譲れない保育観|理由がある・説明できることが大切

私の保育観
  • 子ども主体、保護者目線で考え、その時期にしかできない保育をする
  • 主に褒める保育、危険が伴うことは本気で叱りメリハリをつけた教育
  • 子どもの言動をまずは肯定し、受け止めてからその先を促す
  • どんなことにも理由がつけられることが私の保育観

わたしは、子どものためを思って保育を行うことはもちろん、保護者目線でも考えるようにしています。

お迎えに来た保護者が、怪我をしている自分の子どもを見ると心配、不安になりますよね。

「どういった経緯で怪我をしたのか?」「そのときの処置や保育士の対応はどうだったか?」などを、保護者が少しでも不安を取り除けるように説明することも保育士の大切な仕事です。

そして、褒めて個性や長所を活かす保育を大切にしています。

集団生活の中では、おふざけをして保育士の話をなかなか聞こうとしない子も当然います。

ですが、その子たちの見本となるように、きちんと保育士の話を聞いている子を皆の前で褒めます。

そうすると周りの子も、「今自分は何をするべきなのか」「自分もかっこいい姿を見せて褒めてもらいたい」という意識に変わります。

他児を通して本児を指導すると同時に、全体にも指導の域を広げられるよう心がけています。

危険の伴うことは本気で叱りますが、もちろん根源となっているのは「子どものため」があります。

私の行う保育は、どんなことにも必ず理由があり、きちんと説明できる自信があります。

こういった自信が、譲れない保育観へと繋がっています。

保育観に正解はない。だからこそできる保育がある

保育士が10人いれば、考え方も10通りあり、遊びが10個できあがります。

子どもにとっては、よりたくさんの選択肢の中から保育を受けられる環境の方が刺激があります。

保育観には正解がないからこそ面白い部分でもあり、自分の保育観だけを押し付けず、他の保育士の保育観をどんどん吸収してスキルを磨いていけば、立派な保育士として活躍できるでしょう。