派遣保育士を辞めたい理由・悩みや、派遣ならではのデメリットとは?

派遣会社に登録して派遣保育士として働いているけれど、

  • 思っていた仕事内容と違った
  • 派遣という立場から人間関係で苦労している
  • 「このまま派遣で働いていて良いのか?」と将来に不安を感じている

など、『派遣の保育士なんてもう辞めたい』と思っている人も多いのではないでしょうか?

この記事では、派遣保育士などの非正規雇用の保育士が、保育現場でどのくらいの割合働いているのかという実態や、どうして派遣保育士を辞めたいと思うのかの悩み・理由について紹介しています。

また、派遣保育士を辞める流れやタイミングについても解説しているので、今辞めようかどうか悩んでいるなら、ぜひ参考にしてください。

非正規雇用の保育士の割合と平均勤務年数

まず最初に、派遣保育士を含む非正規雇用の労働者の割合について現状を紹介すると、

近年では、「91.6%」の保育施設で、非正規雇用の保育士(派遣、パート・アルバイト含む)が雇用されています。

非正規雇用者として働く方は、保育士全体の人数から見ると「42.1%」と、非常に高い割合を占めています。

つまり、保育園で働く保育士のおよそ半数が非正規雇用者ということになります。

派遣保育士の平均勤務年数は「約1.7年」となっており、比較的長い方だと思いますが、労働者派遣法で定められている派遣期間の最長3年には満たない期間となっています。

参考:全国保育士協議会会員の実態調査報告書

派遣保育士を辞めたい理由|派遣ならではの悩みとは?

雑用ばかり。フリー保育士扱いで、クラスや担当を持たせてもらえない

データによると、

正規職員と同じような業務を行っている非正規職員の割合は1割だという保育園が「26.8%」

反対に、正規職員と同等程度の業務を行っている非正規職員の割合は「20.4%」

となっています。

このデータから、派遣保育士の多くは特定のクラスを持たず、人手がいるクラスに突発的に「フリー保育士」として入ることが多いことが分かります。

フリー保育士の場合は、朝に急に当日担当するクラスを告げられることもあります。

子どもたちの成長をじっくり見るよりも、手が必要な現場に次から次へと渡り歩いている状態で、子どもたちとの信頼関係を構築しにくく、変に負担ばかりかかっているケースも少なくありません。

掃除や片付け、行事の準備などがメインの仕事になってしまい、保育よりも雑用ばかりをこなしていることもあり、派遣のフリー保育士はとても辛い一面があります。

園の人間関係になじめない。正規職員に気を遣う

保育士の世界は女性が多いので、いったん人間関係がこじれると、複雑になりやすいです。

基本的に、有期雇用で入ってくる保育士は、即戦力を求められることが多いです。

しかし、経験が浅い派遣保育士の場合、知らないことや、その保育園のしきたりが分からなく、ミスを起こしてしまうケースもあり、それきっかけで無視されたり、「あなたは派遣だから」と嫌な扱いを受けたというケースも少なくありません。

また、「派遣の保育士はいつかいなくなる人」と見る保育士も多いです。

そのため、長い付き合いではないと考えている保育士が多い職場では、派遣への風当たりが強くなることも考えられます。

また、業務の指示を正規職員に尋ねても、正規職員はクラス担当をしているので忙しので、保育中に確認したいことがあっても聞けないなど、気を遣う場面も多いです。

仕事内容は同じでも、給料が少ない

正規職員と同じ業務内容であっても、派遣保育士の給料は上がることはありませんし、もちろんボーナスや昇給もありません。

そのため、仕事内容と給与のアンバランスさに不満を抱えている派遣保育士も多いです。

例えば、急病や産休などの代わりに、派遣保育士がクラスを一時的に担当することもあります。

その場合、正規職員と同じように、クラスの運営や書類、行事などを一手に引き受けることとなります。

責任の少ない派遣を選んで働いているのに、これじゃあ正社員と何ら変わりがないと、不満の声が出てくるのも当たり前ですよね。

保育士が派遣で働き続けるデメリットは?

保育士としてのキャリアが積みにくい

派遣保育士は、クラス担任を持つ機会が少なく、正規職員より軽微な仕事を請け負うことが多いため、保育士としてのキャリアが築きにくいです。

保育士業界は経験が物をいうところもあり、他の園に転職したとしてもクラス担任の経験があるか問われることが少なくありません。

そのため、将来的に主任や園長などの役職を目指している場合や、昇給など待遇面でのアップを考えている場合、派遣で保育士を長く続けていくことは不利となってきます。

期間がきまっているため、将来的に不安

派遣は最長3年間の雇用期間が法律で定められています。

最長3年という期間が定められているので、仕事を続けたいと思っても、派遣は同じ保育園で働き続けることができないのです。

派遣期間が満了となった場合には、次の就職先を探さなくてはならないことも不安材料の一つです。

【体験談】辞めてよかった派遣保育士

保育園で派遣の保育士として働いていました。

クラス担任や担当する園児が固定されていないので、毎朝どのクラスに入って保育をするのか分かりません。

 

朝いきなり指示されて、時には午前と午後で入るクラスが違うので、派遣された当初は子どもの名前も覚えることができません。

また、掃除や行事前の制作が多い時期もあり、本当は「保育をしたい」という気持ちがあり、保育園で働き始めたのですが、雑用の方が多いのです。

 

皆忙しそうで、分からないことや知らないことを聞きにくい雰囲気で、知らずに動いて叱られてしまうことが増えてきました。

私がその場にいて、お手伝いさせてほしいと申し出ても、「今はいい」と断られ、その後すぐに他の先生に依頼するということもあり、すっかり自信を失くしてしまいました。

派遣期間満了まで期間がありましたが、このような雰囲気に耐えられなくなり、辞めることにしました。

 

今は、他の保育園で正社員として保育士をしています。

仕事内容や職場の環境が悪い保育園で働いても、自分が苦しくなるだけです。

今は辞めて良かったと思っています。

派遣は契約期間中でも辞められる?

どうしても続けることが困難な場合は、契約期間途中であっても辞めることができます。

ただ、派遣会社との雇用契約で、1か月、3か月など期間が原則決まっているので、雇用契約期間内で辞めるのは、派遣先からも派遣元からも嫌がられます。

派遣元から引き留められるケースもあると想定できますが、退職意思が固いなら我慢することはありません。

辞意は、①派遣会社→②派遣先の保育園の順番で伝えていきます。

辞めたいという意思を派遣会社が伝えてくれるので、その後自分から保育園に辞める時期や辞める理由などを伝えていくようにしましょう。

辞める1か月前には退職意思を伝える

辞める意思が固まったら、1か月前には辞める旨を派遣元の人材派遣会社に伝えます。

法律的には2週間前なら問題ないのですが、急に人手がいなくなれば、派遣先にも派遣元にも多大な迷惑がかかります。

社会人としての大人なマナーとしても、少なくとも1か月前には辞める旨を伝えておきましょう。

注意点としては、スムーズに辞めるために、なるべく保育園の大きな行事前の時期は外すことです。

区切りの良い行事の後、夏休みや冬休みなどの長期休みなどのタイミングを見計らって伝えるようにしましょう。

辞める理由はどうする?

辞める際は、単なる愚痴や文句にならない理由を整理しておく必要があります。

「○○っていう先生が嫌だから」

「時給と仕事が見合わない」

どちらも正当な理由ではあるものの、これだと少し弱いです。

「せめて契約期間内だけは続けましょう!」と、引き留められることにもなりかねないので、愚痴や不満にとらえられないような辞めたい理由を用意しておくべきです。

例としては、

「夫の転勤が急に決まって、来月から他県へ引っ越すことになった」

「親の介護が必要になり、どうしても仕事を続けられなくなった」

など、「ああ、それならしょうがないですね」と思わせる理由をつけて辞めることが1番ない風が立たないのでおすすめです。

将来的なキャリアアップを考えるなら紹介予定派遣も視野に

キャリアアップや将来のことを考えた時に、派遣保育士で様々な保育園を渡り歩くのはベストではありません。

しかし、その保育園の働きやすさ(人間関係や仕事内容など)は、実際に働いてみないことには何とも分からないのが正直なところ。。

なので、保育士が派遣で働くというのは、どんな職場かを体験できるメリットがありますし、正職と比べて楽などの面もあります。

ただ、登録型派遣の場合は、数か月ごとに職場を転々としていくことも十分ありうるので、これでは保育士としてのキャリアが積めません。

だからこそ、正社員を視野に入れた働き方をもっと重視すべきです。

例えば、正社員になれる紹介予定派遣の求人なら、「派遣から正社員になる!」のを視野に入れて働くことができます。

紹介予定派遣であれば、働きたい保育園の雰囲気、業務内容、人間関係が正職員になる前に分かるメリットがあります。

紹介予定派遣なら、最初は派遣から安心して就職することができるので、このまま派遣続けてていいのかなと悩んでいるなら、紹介予定派遣の仕事に目を向けてみるようにすることをおすすめします。