「保育士=保育園で働くもの」
と決めつけている人も多いと思いますが、保育所の形態も様々ですし、保育園以外の職場もたくさんあります。
保育士資格で働ける施設というのは、保育園以外にも一般企業や病院などたくさん種類があるのです。
例えば、「乳児院や養護施設など、聞いたことはあるけど詳しくは分からない」こんな保育士さんも多いと思いますが、施設の特徴を知ると興味も湧いてきますし、職場選びの視野も広がります。
そこで、保育士さんに人気の高い就職先をランキング形式で紹介しているので、その保育所の特徴や就職するメリットなどを、自分の条件を照らし合わせて就職先・転職先の選択肢を広げてみてください。
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保育士に人気の就職先ランキング~働きたい保育園を探してみよう~
1位 公立認可保育園
公立の認可保育園は、保育園の中でも最も給与が高く安定しており、とても人気が高く、公立保育園に就職したい保育士さんは多いです。
公務員保育士になるので、
「教員採用試験を受けて合格しなければ就職できない」
「採用されても不定期に転勤がある」
などの事情がありますが、それでも安定性の高い就職先から人気はかなり高いのが特徴です。
倍率は相当高いですが、一度就職すると昇格もきちんと約束され、待遇面での不安や不満は少ないでしょう。
退職する職員が本当に少ないので、ベテランの保育士と共にスキルを磨いていける職場になります。
- 安定した収入を得ることができる
- 産休、育休が充実している
- 勤続年数の長いベテラン保育士が多くいる
- 時間外手当はきちんと支給される
保育園の待遇面も保育の質も高いという点が、公立の公務員保育士として働く最大のメリットです。
行事やイベントはたくさんありますが、職員がきちんと確保されているので、残業は少なく、もし残業が発生しても時間外手当はきちんと支給されるので安心!
産休、育休制度もきちんと整っているので、長期で働きたい女性にとっては良い職場環境になります。
公立保育園では、保育方針も子どもが伸び伸びと過ごせることを目的としている園が多いため、ルールや規則に縛られすぎず保育を行うことができます。
2位 私立認可保育園
私立認可保育園は全国で最も多い施設形態で、保育士の就職数としては1番数が多い保育園になります。
私立の保育園は、身内で経営している園が多く、保育方針も独自に設定されているため、保育方針と自分の考えが似ている場合は、とても働きやすい環境になります。
一般企業とは違って、私立の認可保育園は景気に左右されることがないので、安定した収入が得られることも魅力です。
- 月給や賞与とは別に自治体からもらえる手当
- 季節ごとの行事やイベントが豊富
- 保育士の人数が確保されている
- クラス担当制でスキルが身につく
公立保育園と同様、収入面での安定感もあり、厚労省の保育士プランにより、認可園を対象とした処遇改善が行われているので、月給や賞与とは別に自治体からもらえる手当にも期待ができます。
クラス担当制で子どもの年齢別に様々な活動を取り入れているので、幅広く保育士としてのスキルが身につく環境であることも大きなメリットです。
また、私立ならではの行事やイベントも多いので、保育士として経験を積むことが可能です。
3位 小規模認可保育園
0歳児~2歳児までを対象とし、子どもの定員数が20人以下であることから、『ゆったりと保育がしたい』という理由から人気上位となっています。
認可保育園に変わりはないので、職員数もきちんと確保されており、もちろん手当も支給されます。
特に乳児の保育、世話が好きな人にとっては天職といえるでしょう。
- 少人数制で手厚い保育が行える
- ゆったりとアットホームで家庭的な保育ができる
- 職員数は少ないが保育士の数は確保されており、休日取得の融通は利きやすい
- 職員間の情報伝達が早く行える
少人数なのできめ細やかな保育が行えることはもちろん、ほとんどの認可小規模保育園では一つの保育室で異年齢保育を行っているので、子ども全員の様子を細かくチェックできます。
職員数も大規模な保育園と比べて少ないので、職員間の共有や伝達がいち早く行えることもメリットです。
職員数が少ないと人間関係でもめることも少なく、仕事以外の余計なことに気を遣わなくて済むので精神的負担も軽減されます。
職員数が少ないといっても、定められている保育士数はきちんと確保されているので、休日の取得も融通が利くでしょう。
4位 児童厚生施設(学童・児童館)
学童は小学1年生~3年生を対象に、一定の要件を満たす児童が放課後に通っています。
一方児童館は0歳児~18歳を対象としており、休日でも開放しているところも多々あります。
対象年齢が保育園よりも高くなることから、5歳児以上の児童と遊びを通してコミュケーションを取りたい保育士に人気の高い施設です。
公立、私立ともにあり、私立の場合は母体となる運営が社会福祉法人や学校法人であることが多く、ともに運営されている保育園や幼稚園との連携も行われています。
- 様々な年齢の子ども・児童と関われる
- 対象年齢が高いため、遊びの幅が広がる
- 給与水準が高く収入面で安定している
- 地域と連携した保育ができる
就学前の子どもだけでなく、小学生やそれ以上の児童とも関われるため、保育園ではできない色々な遊びができます。
平日だけでなく、休日も開放されていたり、乳児を対象としたセミナーなどを取り入れていることもあるので、地域と連携した保育を行うことができることも魅力です。
また、運営母体がきちんとしているため給与水準も高いです。
5位 企業内・院内保育施設
企業内保育所や病院内保育所は、決まりごとが少なく、自由度が高いことから保育士に人気の施設となっています。
その企業や病院で働く人の子どもを預かり、勤務時間や保育所の運営時間は園によって様々です。
働く保護者の勤務に合わせて運営されているので、夜勤や、通し勤務があるのが特徴です。
正社員での採用の場合、夜勤手当が付く分、給料は良いです。
企業内や院内を対象にした保育企業が契約している場合と、直接その企業や病院が保育事業を行っている場合があり、後者の場合は企業の業績や病院の利益によって保育士の給与が左右される可能性もあります。
- 子ども一人ひとりと深く関われる
- 決まりごとが少なく自由度が高い
- 残業が少ない
- 夜勤がある分、給与が高い
- 大きな行事がなく慌ただしくない
企業内保育所や院内保育所は、小規模な託児所が多く、こじんまりと子どものペースに合わせた保育ができます。
企業や病院と連携したイベント、保育参観、遠足などを積極的に行っている園もあり、こじんまりとした中でも物足りなくなることはないでしょう。
小規模なので大きな行事はありませんが、故に認可保育園のような慌ただしさや残業などもありません。
決まりごとも少なく、職員間で意見を出し合って保育に携わることができます。
6位 病児・病後児保育施設
病児・病後児保育施設の施設形態は下記の3種類。
- 『病児保育施設型』病院内や医療機関に併設されている
- 『保育園併設型』保育施設内に併設されている
- 『訪問型』自宅に訪問して保育、看護ケアを行う
があります。
病児と病後児の違いは
- 病気の回復期までを対象としているのが『病児』
- 回復期を対象としているのが『病後児』
になります。
いずれもデリケートな状況で保育を行うことから給与は高めで、保育士資格保有者に人気の就職、転職先となっています。
保育といっても活動には制限が出てくるため、保育士の体力面でもゆったりと余裕をもった保育ができます。
- 給料が高く、待遇も良い
- 指導計画などの書類仕事がない
- 色々な子どもとじっくり向き合えて病気に対する知識も深まる
- 激しい運動がないので、体力的な負担が少ない
基本的に1対1で子どもと関わり、集中して保育やケアにあたることができます。
給料が高く、土日は休みなどの待遇面も良いのも魅力ですが、激しい運動や活発な活動をしないので、体力的な負担が少ないことが最大のメリットです。
活動が特にないため、指導計画を作成することもなく、色々な子どもと日々関わることができるのも魅力の1つでしょう。
病気の回復期前後という大切な時期に子どものケアを行うので、病気に対する知識が深まりスキルアップにも繋がります。
保育園以外で人気の仕事・就職先は?(※要保育士資格)
ランキング上位には入らなかったけれど、他にも保育士に人気の就職先(転職先)はたくさんあります。
あまり馴染みのない施設もあるかもしれませんが、どんな職場があるのか確認しておきましょう。
病棟・医療保育施設
主に入院している子どもの遊びや食事の介助、身の回りの世話などが仕事です。
コミュニケーションを取り、心のケアを行う重要な役割となります。
乳児院
様々な理由で家庭での生活が困難になった新生児から2歳頃までの子どもが入所する施設です。
保育士の仕事は親代わりとなって子どもの世話をするので、24時間体制で職員が支えています。
乳児期の大切な時期をともに過ごすため、職員間だけでなく児童相談所、保護者、医療関係者との連携も密に行うことが求められます。
児童養護施設
保護者がいない、虐待などの理由で入所する施設ですが、児童養護施設は1歳から18歳未満が一般的です。
条件を満たせば20歳まで入所可能ですが、いずれにしても保育士は子どもの親代わりとなって生活を支えていくことに変わりはありません。
入所している子は辛い経験をしている子が多く、物心ついてから入所してくる子もいるので職員との信頼関係が何より大切になってきます。
イベントや旅行などを企画する施設もあり、保育士の仕事は多岐に渡ります。
児童相談所
0歳から18歳未満の子どもが入所する一時保護所です。
基本的に2ヵ月を超えての入所はできず、保護者や親戚、学校の職員などと連携して入所する子の健やかな成長を促す施設です。
生活指導が保育士の主な役割となり、子どもたちとコミュニケーションを図りながら信頼関係を築いていくことが大切です。
問題を起こして入所する子も多く、ときには暴言を吐かれたりするので精神的にタフで、忍耐力のある人向けです。
母子生活支援施設
生活、養育が困難な母子世帯を保護し、自立できるまで支援を行う施設です。
18歳未満の児童を養育するのが困難な場合を対象としていて、入所だけでなく一時入所、相談も行っています。
保育士は、その18歳未満の児童の学習支援、遊びの提供などを行います。
児童が熱を出したりした場合は学校の送り迎えを担当することもあり、一時的な母親代わりとなる重要な役割を担っています。
児童自立支援施設
不良行為を行った児童や、行う恐れのある児童が入所する施設です。
施設内に小学校や中学校があり直接施設から通うので、児童の行動範囲を把握しやすいといった利点もあります。
保育士は、掃除や食事のマナーなどの普段の生活指導や、社会のルールや常識などの社会で生活するうえで大切な指導を行います。
助産施設
異常分娩の恐れがあったり、収入面で生活苦な妊婦に対して出産を助けるための支援を行う施設です。
出産前後の妊婦や乳児のケア、出産の手伝いなどが保育士の仕事内容であり、非常にデリケートな時期の支援を行うため専門的な知識がある保育士が求められています。
障がい者施設
- 『自閉症児施設』自閉症と診断された18歳未満の子どもを保護する
- 『肢体不自由児施設』上肢、下肢、体幹などに機能的な障がいをもつ児童へ訓練や指導を行う
- 『知的障害児施設』知的な障がいをもつ児童を保護する
- 『盲ろうあ児施設』盲児や強度な弱視児を保護する
- 『重症心身障害児施設』重度の知的障がいと肢体不自由がある児童の保護と治療を行う
- 『情緒障害児短期施設』軽度の情緒障がいをもつ児童が短期的に入所、通所する
など、障がいをもつ子を対象とした施設はたくさんあります。
これらの施設でも保育士は生活指導や児童のケアなどを主に行うことを仕事内容とし、求人でも募集されています。
副業もOK!保育士資格があると採用が有利になるバイト
副業を考える保育士さんや幼稚園教諭さんにおすすめのバイト先は『小児科の受付』や『英語教室やピアノ教室の受付』です。
こちらの仕事は保育士資格があれば採用はかなり有利になります。
副業アルバイトでの募集や、パートや正社員の募集もあるでしょう。
特に小児科がある病院・病棟は、保育士の需要があります。
小児科で働く人が保育士資格をもっていると病院側も保護者側も安心できますからね。
また、子どもが通う習い事は民間企業なので、資格は必ずしも必要ではありませんが、有資格者であれば評価は高いでしょう。
子どもと関わる環境だからこそ、資格をもっていると有利にはたらきます。
上記の他にも式場、ホテル、デパートの託児サービスなど、資格を持っていると有利になる就職先はたくさんあります。
失敗しない就職・転職先選びのために必要なこと
失敗しない就職・転職活動を行うには『まずは自分の希望する待遇や条件を挙げ、その条件で働くことができる施設を知り、視野を広げること』が大切です。
保育士を募集している施設はたくさんあるので、こだわりを元に求人を検索していけば絞られてきます。
給料は具体的にいくら以上が良い、賞与は最低でも2ヵ月以上は欲しい、などの待遇面や、土日祝は完全に休みたい、夏季休暇は必ず〇日欲しい、といった休日条件などをピックアップして、その条件に合わせて求人を探すようにしましょう。
また、「障がい児と関わりたいのか?」「何歳を目安に扱っている施設が良いのか?」など、自分が求めている施設を絞っていきましょう。
興味をもった施設があればとにかく調べ、失敗しない就職、転職にしてください。