乳児院の保育士求人を募集している転職サイトは?仕事内容や給料についても解説

「保育士は保育園で働くもの」と考える人が多いですが、保育園以外の就業先も多数あり、その中の一つに『乳児院』があります。

ですが、乳児院について詳しく知らない保育士さんも多いのではないでしょうか?

実際に就業している友人が周りにいなければ、

『どんな仕事内容を担当することになるのか?』

『夜勤は月に何回入るのか?給料はどのくらいになる?』

『乳児院の実態はどう?保育士が働きやすい施設なの?』

など、具体的なイメージが湧かない人がほとんどでしょう。

そこでこの記事では、実際に乳児院の保育士として勤務していた筆者が、「乳児院で働きたい保育士さん」に向けて、仕事内容や給料などの内情から、求人探しの方法までを詳しく解説していきます。

乳児院ってどんなところ?

乳児院とは、何らかの理由により、親と一緒に暮らせない子どもたちが入所する施設の1つです。

施設は2種類あり、

0歳~2歳までの子どもが入所する施設のことを「乳児院」

3歳~18歳までの子どもが入所する施設を「児童養護施設」

と言います。

乳児院は、主に社会福祉法人が運営している施設になり、キリスト教を信仰している団体が支援している場合が多いです。

乳児院は、子どもたちが保育士の援助を受けながら、24時間生活する場所です。

つまり、私たちが暮らしている家と、子どもたちが入所している乳児院は、同じ「生活の場」になるのです。

乳児院で暮らす子どもたちの特徴

乳児院で生活する子どもたちの年齢は、0歳~2歳までで、『親とは一緒に暮らせない子どもたち』です。

3歳になると、児童養護施設へ移ることになります。

また、実の親が親権を手放している場合は、養子縁組を受け、里親に引き取られる子どももいます。

 

入所している子どもには、それぞれ親と一緒に暮らせない理由があります。

例としては、親から虐待を受け一緒に暮らすことが危険と判断された子ども、産み捨てられた子ども、親が精神的な理由により養育困難と判断され預けられた子ども、など理由は子どもによって様々です。

しかし、入所理由は違いますが、子どもたちに共通しているのは「大人への不安」です。

本来ならば、親と一緒に暮らせるはずだった子どもたちが親の都合により、離れ離れになってしまったのです。

そのため、子どもたちは、大人への警戒心が強い傾向にあり、わたしたち保育士は、子どもたちと生活を共にすることで、大人への警戒心を解き、心から甘えられる環境づくりをしていく必要があるのです。

乳児院で働く保育士は、施設で暮らしている子どもたちの「親代わり」となり、生活の支援をすることです。

乳児院で働く職員構成について「どんな人たちが働いているの?」

子どもたちへ直接的な支援をするのは保育士ですが、乳児院では保育士のほかにも様々な職員が働いています。

・保育士

主に子どもたちへの直接的な支援を行います。食事援助や入浴援助など子どもたちに関わる衣食住の援助を行います。

 

・看護師

0歳は特に体調の変化が激しいため、なにかあった場合にすぐ処置できるように必ず看護師は配置しなければなりません。

乳児院によっては、看護師も保育士と同様に衣食住に関わる支援に参加する場合もあります。

 

・児童指導員

業務内容は保育士と同様になります。

名称が異なるのは、資格の違いのためです。

児童指導員は施設では勤務可能ですが、保育園では働くことができない資格になります。

 

・心理カウンセラー

入所する子どもたちの中には、虐待によって心理的に傷ついている子どもも存在します。

そのような子どもたちへの支援を行うため、最低1人の心理カウンセラーを配置する必要があります。

 

・調理師、管理栄養士

乳児院では、子どもたちが生活しているので、施設内で食事を提供する必要があります。

また、栄養バランスを考えた毎日の献立を考える必要もあるので、管理栄養士も配置しなければなりません。

 

・施設長や事務員

主に書類などの事務的な作業をしています。

このように、乳児院では保育士以外にも様々な資格をもった人が、子どもたちがよりよい環境で生活できるように、多方面から援助をしています。

保育士資格を持った職員は乳児院には何人必要?

保育士1人に対して、見ることができる子どもの割合は年齢に応じて決まっており、その割合に合わせて、保育士または児童指導員を配置します。

0歳児の場合は、保育士1人に対し2人まで見ることができます。

1歳児は、保育士1人で3人。

2歳児は保育士1人で4人という割合になります。

また、夜勤の場合は、0歳児は保育士2人、1歳児は保育士1人、2歳児は保育士1人で見なければなりません。

乳児院で働く保育士の仕事内容は?

乳児院で働く保育士は、子どもたちの衣食住に関わる全ての支援をする必要があります。

主な仕事内容としては、「食事援助、排せつ援助、入浴援助、寝かしつけ、遊びや散歩など」を行います。

 

施設にいる子どもたちは、家庭で育った経験がないので、常識などもわかりません。

例えば、保育園の子どもたちは、家庭で「道路に飛び出したら危ない」と言われています。

しかし、施設の子どもたちはそのことを家庭で教えてもらっていないので、平気で道路に飛び出したりします。

そのため、乳児院おいて保育士は、生活面を支援するだけでなく、社会の常識や善悪の判断など家庭で行われるべき「養育」の部分も担う必要があるのです。

一般的な保育園との違いは?

①24時間の保育が必要夜勤がある

保育園は基本的に、家庭の補助的な立場にあるため、保育する時間も限定的です。

しかし、乳児院は、入所している子どもたちにとっては「家庭」そのものであるため、保育時間は24時間です。

当然、保育士も24時間いなければなりません。

そこで、乳児院では保育園にはない「夜勤」があります。

乳児院においての夜勤の目的は、子どもたちの健康管理です。

乳児は特に、睡眠中に乳幼児突然死症候群を発症しやすいので、5分おきの呼吸チェックをしなければなりません。

また、心理的トラウマにより、上手に睡眠できない子どももいます。

そのような子どもたちが安心して睡眠できるようにそばについてあげたりと援助が必要なのです。

②先生という立場ではなく、ある意味母親としての役割が必要になる

また、乳児院では「担当制」と言って、保育士1人に最低1人の子どもを担当します。

具体的には、担当した子どもの洋服を買いそろえたり、成長の記録を書いたりと、家庭で言う「母親」のような存在になります。

担当制を設けることで、子どもは特定の大人に甘えられるという安心感を得ることができます。

また、保育士は担当した子どもを、ただ保育すればいいというわけではありません。

その子どもにどのように成長してほしいかを考え、その子どもの人生に関わっていくことが必要になります。

乳児院で働く保育士の給料・年収はどのくらい?

保育園、乳児院の両方で勤務経験のある筆者の見解ですが、保育園に比べ、乳児院の方がハードな仕事だと感じられます。

しかしその分、乳児院の給料は保育園に比べ高い点も事実です。

平成27年の厚生労働省の調査によると、東京都の保育士の平均年収は約368万円になります。

一方、乳児院の求人サイトなどを見ると、四大卒の新卒でも基本給で20万円以上、経験を積めば基本給で25万円の給料が出ます。

さらに乳児院では、夜勤手当が1回につき5000円ほど出ます。

つまり、総合すると新卒でも月給はかなり高くなります。

これは、安月給と言われる保育士の給料においてはかなりの高待遇です。

さらに、乳児院は賞与も4ヶ月分など、ボーナスが高い乳児院が多いです。

このように、乳児院は保育業界においてトップクラスの給料体制を誇ります。

保育士が乳児院に就職・転職するメリット・デメリット

メリット

  • 保育園に勤める保育士よりも平均して給料が高い
  • 乳児のみの保育が可能
  • 子ども一人ひとりと、密接に関わることができる

まず、乳児院は上記からもわかるように保育業界においてはトップクラスの給料です。

また、乳児院は0~2歳までの子どもが対象なので、乳児に絞って保育をしたいと考える保育士にとってはいい条件だと思われます。

そして、乳児院は多くても子どもの定員は40名程度になります。

入所している子どもの数が少ないうえに、担当制を導入しているので、子どもと密接にかかわることが可能です。

デメリット

  • 夜勤勤務があるので、夜働くのが厳しい人には不向き
  • 24時間365日開所しているので、休みが不定期
  • 掃除や洗濯などの保育以外の雑務が多い

夜勤は乳児院で勤める以上、仕方がありませんが、夜勤勤務中の仮眠は、できても2時間程度しかできません。

夜中に何度も目が覚め、泣く子どもが複数いても、1人で見なければならないので、夜勤は思っている以上にハードになります。

 

また、乳児院は24時間365日開所しているので、保育士の休みは不定期になります。

そのため、プライベートの充実を図るには少し厳しいかもしれないということを覚悟しておきましょう。

 

そして、保育以外にも雑務が多いのも特徴です。

掃除や洗濯、ベッドメイキングなどはすべて保育士が行わなければなりません。

また、担当の子どもの洋服やおもちゃを買うのも保育士の仕事です。

雑務も行いながら保育も同時に行っていかなければならないので、意外とハードな仕事になります。

わたしが見た乳児院の実態と問題点

乳児院は慢性的に人材が不足しており、一人ひとりへの負担が大きいことが問題となっています。

その原因は、「乳児院という施設が非常に閉鎖的なため、知名度が全くない」という点です。

 

しかし、乳児院の存在をオープンにしてしまうと、子どもに危険が及ぶ可能性もあるため、必然的に閉鎖的になってしまうのです。

この閉鎖的であるという問題点は、乳児院という施設である以上、仕方がない点ではあります。

 

ですが、解決しなければ人材不足に拍車がかかり、施設自体が機能しなくなってしまうという恐れもあります。

乳児院の求人探しの注意点

乳児院は全国に存在しますが、保育園と比べて施設の数が極めて少ないです。

そのため、募集されてる保育士求人も決して多くはありません。

しかし、深刻な人材不足であることは事実です。

乳児院の求人を見つけるには、保育士転職サイトへの登録がオススメです。

ハローワークなどで探すこともできますが、紹介されるのはごく稀です。

しかし、保育士専門の転職サイトならば、保育士に絞って転職をサポートしてくれるので、乳児院の求人を紹介される確率がかなり高いのです。

乳児院の保育士を募集している転職サイト

 保育士バンク

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求人数はそこまで多くはありませんが、実際に乳児院の求人情報を保育士求人サイトごとで見ていくと、唯一、保育士バンクに多数の乳児院の求人情報を掲載していることを確認しました。

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乳児院における保育士の役割は、保育ではなく「養育」すること

乳児院では、入所する子どもの人生に保育士は関わっていく責任があります。

そのため、保育するだけでなく、「この子どもにはこんな風に育っていってほしい」と考え、それに基づいて養育していく必要があり、家庭で言う「子育て」と変わりありません。

保育園で働くよりも、責任は重いかもしれませんが、その分やりがいは感じられます。

子どもの成長を近くで感じ、子どもの人生に関われるのは、乳児院保育士だけの特権と言えるでしょう。