小児病棟を持つ病院は、保育士資格を持っている人の中でも人気のある職場のひとつです。
なぜなら、子ども一人一人に寄り添いながらきめ細やかな保育ができること、医療現場での専門性を持った保育ができるからです。
医療保育士は、病気やけがなどで入院している子どもたち一人一人の心に寄り添いながら、遊びや身の回りのお世話をしていくのが主なお仕事になります。
担当した子どもが元気になって退院していく時にやりがいと感動を覚えるのが、この医療保育士のお仕事の本髄と言えるでしょう。
また、条件面でも、保育士特有のサービス残業も通常の保育園勤務より少なく、母体が病院や医療関連法人であるため、給与面で安定しているのも医療保育士の魅力と言えるでしょう。
ここでは医療保育士について詳しくみていきましょう。
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医療保育士とは?
医療保育士とは、病院や医療機関で働く保育士のことを言います。
病気やケガなどで入院している子どもたちに、絵本を読んだり、工作や折り紙を一緒にしたり、学習支援などをしながら、子どもたちに寄り添っていくのが医療保育士です。
入院中は非日常的な生活を送る上、病気やケガでの不安や家族や友達と一緒に過ごせないことから、「寂しい」「つらい」「つまらない」などのネガティブな感情を抱きやすいものです。
そうした子どもたちのストレス緩和や、心のケアを行うのが、医療保育士の主な仕事となります。
子どもの看病に付き添う家族も不安になったり、ストレスを感じたりするものです。
家族の心のケアを行うのも、医療保育士の大切な仕事と言えるでしょう。
医療保育士になるには資格が必要?
医療保育士になるには、保育士免許が必須資格となります。
基本的に、医療保育士としての特別な資格は必要ありません。
ですが、長く医療機関で保育士を務めることで医療保育士専門士の資格認定につなげてスキルアップすることが可能となります。
また、医療機関で子どもの病気や容態について、看護師や医師と話し合ったり、カルテを見たりする機会も多いため、直接の医療行為を行わないにしても、病気や医療の知識、入院している子どもの生活面や心のケアなどの知識が必要になってきます。
医療保育専門士とは
医療保育専門士とは、病院で働く保育士のキャリアパスのひとつとして注目されている民間資格です。
医療機関などで働く場合、必須の資格ではありませんが、自身の医療機関での保育士の経験を活かし医療保育専門士の資格を取得すれば、医療に携わる保育士としての知識や経験を活かして、資格を取得し、さらに自分に合った病院への転職の武器になることでしょう。
この医療保育専門士になるためには、以下のような要件が必要です。
1.日本国の保育士資格を有すること。
2.病院・診療所(病棟・外来)、病(後)児保育室、障害児施設での勤務経験が1年以上あること。非常勤であれば、年間150以上、2年以上の勤務経験があること。
3.日本医療保育学会会員であり、1年以上の会員歴があること。
小児科病棟を持っている病院に、子どもを専門のケアをしている、また医療の知識のある専門の保育士がいることは、病院にいる子どもだけでなく、子どもの看護をする保護者もまた心強いものです。
医療保育専門士は、子どものケアだけでなく、看護をする家族のケアまで行える知識なども必要とされています。
医療保育士の求人の数は少ない上、希望者も多く、就職するのには狭き門です。
そのため、保育士の専門知識とともに更なるステップアップを目指したい方は、こうした専門性をアピールすることで、待遇面や自分の希望する病院への勤務も夢ではありません。
医療保育士、病棟保育士、病児保育士の違いは?
基本的に、病棟保育士も病児保育士も、すべて医療保育士という広義の中に含まれます。
病棟保育士は小児科などで入院する子どものために遊びや看護の提供を行います。
病児保育士は、病児保育を行う病院で、半日~一日子どもを預かり、生活面や遊びなどの提供を行います。
ほかにも、外来や障害児施設などで働く保育士を医療保育士と呼びます。
医療や看護などのケアが必要な場所で働く保育士を、総称して医療保育士と呼んでいます。
他にも病院に勤務する保育士の中には、同じ病院内にある保育室で医師や看護師のお子さんを預かることをメインにしている場合もあります。
この場合は医療保育士ではなく、企業内保育園の保育士という意味合いが強く、入院している子どもの看護などの側面よりも保育園と変わらない業務が主流となることが多いです。
参考出典元:医療保育士学会
医療保育士の仕事内容は?一日のスケジュールは?
医療保育士の仕事内容
医療保育士の仕事は、病院などに入院、通院している子どものQOLを守るために、子どもたちの生活面だけでなく心のケアをしていくのが主な仕事です。
具体的には、入院している子どもに付き添う場合には、絵本を読んだり、折り紙を折ったり、一緒に工作をしたり、手遊びや軽い運動などの遊びを一緒に行っていきます。
付き添いがいない場合には、生活の援助も必要となってきます。
おむつの交換や排せつの援助、着替え、症状に応じては食事の援助、睡眠などの援助がこれに当たります。
それに加え、保育計画や子どもの様子を書類などに記入することもあるため、事務作業も加わってきます。
また、保育室などを設けている病院の場合は、保育室の壁面設定や環境構成も求められることもあります。
医療保育士の一日のスケジュールの一例
出勤後 | 保育準備、申し送り事項の伝達など |
---|---|
9:00~10:30 | 集団保育や個別での保育 |
11:30 | 昼食~休憩 |
13:00 | 午睡援助、個別での保育、学習援助など |
15:00 | カンファレンス |
16:00 | 保育室の整備(片付け、消毒、環境整備など)、フロアの巡回、必要に応じて個別の介護など |
18:00 | 退勤 |
といった流れになっています。
保育園などに比べ、比較的残業も少ないのが特徴ですが、シフトによっては夜勤のある場合もあります。
気になる医療保育士の給料はどのくらい?
医療保育士は、通常の保育士と比べ、医療保育士の場合、勤務先の母体が病院や医療法人がほとんどであるため、安定していることに加え、給与水準も高く、充実した福利厚生があるのが特徴です。
『平均的な月収は18~25万円、年収は250~400万円』と保育士としては高い水準の給料になることが多いです。
シフトで夜勤などがある場合は、さらに残業代や手当なども付くためさらに高水準になる傾向があります。
病院関連に勤務した場合、ボーナスの支給が1年間トータルで3~4か月分になるところも多く、年収に換算した場合、地域差や雇用形態などによっても異なります。
保育士は子どもの命を預かる仕事ですが、とくに医療保育士となると看護に近い部分での保育となり、専門性を求められるため高水準になることもうなずけます。
人気の医療保育士の求人を探す最短ルートは?
医療保育士の求人を探す最短ルートを考えるなら、保育士専門の就職、転職求人サイトで探すのが一番です。
保育士専門の求人サイトに登録しておいて、希望する医療機関や働きたい条件などに見合った求人が出たら、すぐに連絡してもらうのが得策だと言えるでしょう。
医療保育士の求人を探すなら、保育士専門の就職、転職求人サイトを上手に利用して、タイミングを逃さず好条件の求人を手に入れましょう。
「ハローワーク、地方自治体、働きたい病院のHP」などで求人を探す方法もありますが、タイミングが合わないと求人情報に巡り合えない可能性が高いです。
病院に配属される医療保育士の数が少ないことや、退職する人が少ないことも背景にあるため、いくつかの転職サイトに登録しておき、求人が掲載され次第、連絡をもらうようにしておくことがベストと言えるでしょう。
医療保育士の求人探しにおすすめの転職サイトは?
保育士転職・求人サイトにはそれぞれ特徴や強みがあり、色々な転職サイトがあるので、「どのサイトを選んだらよいのか?」迷う方も多いことでしょう。
そこで、ここでは医療保育士の求人を探すのに便利なサイトを2社厳選して紹介します。
保育士バンク
病院の保育士求人を探すのにまず登録しておくべき転職サイトは、『全国対応』の業界最大規模の求人数を誇る保育士バンクです。
保育士バンクでは、自分に合った条件の求人をキャリアコンサルタントが探してくれるだけでなく、今の仕事で悩んでいることがあれば、悩みを解決してくれる保育所を紹介してくれるので、利用しない手はありません。
面談に出向かなくても、電話で面談完了できる手軽さも、現役で保育士をしながら転職活動をする場合には、出かける時間を取られなくて助かります。
登録しておくことで、自分の希望や条件に応じた求人情報を検索することができます。
また、現役保育士が給料公開しているので、条件を考える時に相場を知ることができ、自分の希望する求人との比較材料にすることもできます。
サイトに公開されていない、好条件で人気の高い非公開求人もあるので、登録して確認してみてください。
マイナビ保育士
マイナビ保育士は、『東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県』で求人紹介を行う、転職サイト大手のマイナビグループの保育士専門の求人サイトです。
現役保育士が選ぶ求人・転職サイトの認知度ナンバーワンと言うこともあり、サイト内も充実しています。
検索履歴や応募履歴が閲覧できると同時に、応募先の保育園とやり取りができるメールボックスもあるので、応募検討をしたり、事前に問い合わせを行ったりする場合に便利です。
転職先の候補がいくつかある場合、履歴書を複数用意するのは大変です。
ですが、マイナビ保育士では、履歴書の登録ができ、応募先の履歴も残るので、就職活動を行う際の強い味方となります。
マイナビ保育士では専門のキャリアカウンセラーが面談を行い、将来のキャリアアップについて相談できるので、自身の納得いく転職につながることに間違いありません。
医療保育士として働く上で大切にすべき点は?
医療保育士の仕事で一番大切にすべきは、怪我や病気で不安になっている子どもの心に寄り添うことです。
いつもと違う場所で生活をすることは、大人でも不安になったり、ストレスを抱えたりするものです。
医療保育士が子どもの心に寄り添いながら、ストレスの緩和をしていく役割を果たしていきます。
他にも、医師や看護師と連携を図りながら子どものケアをしていくことや、看護をしている保護者の看護の悩みや子どもの様子を伝えることも必要になるため、コミュニケーション能力も大切になってきます。
さらに医療現場で働く保育士は、カルテを見たり、カンファレンスに参加したりすることから医療の知識も必要となってきます。
病気やけがをしている子どもに寄り添うためにも、病気やけがの知識は必要不可欠です。
自己研鑽の時間を作り、研修などに参加したり、自分自身で医療や介護、看護に関する勉強をしたりする向上心が必要と言えるでしょう。
専門知識と経験を活かした医療保育士になろう!
保育士の資格を持って働く場所は、さまざまなフィールドに広がりを見せています。
保育園や託児所だけでなく、病院に病気やけがで入院している子どもたちのケアをする医療保育士へ、ニーズが高まっています。
小児病棟を持っている病院の中には、医療スタッフに医療保育士や医療保育専門士が在籍していることをホームページで公表しているところもあります。
つまり、専門性を持った人材へのニーズが高まっていると言えるでしょう。
「保育士の資格を持っている」「保育の現場で働いているけれど、もっと専門性を持ちたい」「今よりもっと良い条件で働きたい」という方は、医療保育士を目指してみませんか?