幼稚園・保育園に新卒で就職しても、長く働き続けることは容易ではありません。
事実、幼稚園教諭や保育士の離職率は高く、現場も慢性的な人材不足が続いています。
なぜ、幼稚園教諭の離職率は高いのでしょうか?
この記事では、主に幼稚園教諭に焦点を当てて、保育職の離職率が高い理由や、離職率の低い園への転職方法について紹介します。
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幼稚園教諭の平均年齢は32.4歳と若い
出典 保育士等に関する関係資料
平成26年賃金構造基本統計調査によると、幼稚園教諭の平均年齢は『32.4歳』というデータが出ています。
全職種の平均年齢は「42.1歳」なので、比較すると、およそ10歳近く平均年齢に差があります。
さらに幼稚園教諭は、保育士・看護師・介護士と比べても平均年齢が若いため、それだけ「幼稚園の現場は若い職員の割合が高い」のです。
離職率が高いということは、言い換えると「長く働き続ける人が少ない」ので、離職率が高い職種ほど、平均年齢が若くなる傾向にあります。
一般業種は、定年の60歳まで働くのが普通ですよね。
若者も中年もいて、男女ともに様々な年齢層が共に働いているのが特徴です。
ですが、保育士や幼稚園教諭は、職員のほとんどが女性です。
近年は、男性だけでなく、女性の社会進出も珍しくはありません。
結婚や出産をしても、働き続ける女性も多いです。
ですが、それでも幼稚園教諭の離職率が高いのには、長く働き続けることができない理由が何かしら必ずあります。
幼稚園教諭の離職率が高い理由は?
常勤保育士の離職率
- 公営「7.1%」
- 私営「12.0%」
- 全体平均で『10.3%』
保育士・幼稚園教諭などの保育職は、全体的に他の職種と比べて離職率が高く、また、10人に1人以上が辞めている事実に加え、離職した保育士の中で、勤務年数が3年未満という回答が全体の30%以上というデータがあります。
保育職の離職率が高い理由は、給料が安く、職場環境が悪いのが原因です。
厚生労働省によると、保育士が改善を希望で最も多いのが『給与・賞与を上げてほしい』という回答です。
給与・賞与などの待遇だけでなく、保育現場のハードワークを物語るように「人員不足」「事務作業の軽減」「シフトの改善」などに対する不満も多いです。
また、20代女性の場合は、異業種への興味や職場の人間関係の悪さといった理由が多く、一方30代は子育てや育児という理由が多い結果になりました。
年齢ごとに辞める理由は変わりますが、やはり圧倒的に仕事の待遇の悪さが大きな原因と言えるでしょう。
保育士・幼稚園教諭の離職を防ぐ解決策とは?
保育士・幼稚園教諭の月額給与
- 保育士の平均月収は約21万円
- 幼稚園教諭は約22万円
保育職の離職を防ぐには、まず給与・賞与の改善が必要です。
全職種の平均月収は32万円であるため、比較すると、月収で10万円ほど低いです。
保育職はやりがいのある仕事ですが、働きに見合った充分な給料が与えられなければ、今後も離職率は高くなり、人員増加も難しいでしょう。
しかし、2017年から、政府は保育士・幼稚園教諭の離職を防ぐために、処遇改善政策を始めました。
- 「中堅職員に4万円」
- 「リーダー格の職員に5000円」
- 「全職員に6000円」
を毎月支給する取り組みが実行されたのです。
さらに、各自治体独自の補助金制度も行われ、保育士・幼稚園教諭の給与アップがさかんに行われるようになりました。
給料が上がれば、職員の増員も期待できますね。
しかし、全ての園の給料が上がったわけではないので、今後は保育職全体の給料を上げることが必要になります。
また、保育職は、保育業務以外に月案や個人記録、哺乳瓶の洗浄、掃除などの事務・雑務作業の負担が多いので、それらの軽減も課題です。
一部の園では、出席簿や記録をiPadなどで管理するところもあり、デジタル化による事務作業の負担削減が試みられています。
今後は多くの園でのデジタル化、清掃員やパート職員の雇用の増加が期待されます。
参考 保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について
離職率の低い幼稚園の特徴
- 園全体の雰囲気が和やか、落ち着いた雰囲気
- 教育制度がしっかりしている
- 労働条件が良い(待遇面、残業少ない、休みなど職員が働きやすい)
- 様々な年齢層がいる(年齢に偏りがない)
長く勤めている人が多い職場に共通しているのは、『園全体の雰囲気が和やかであること』です。
これは、『子どもの様子、職員同士の仲の良さ、職員と保護者の親密さ』が全て合わさって作られる雰囲気です。
雰囲気というと少しニュアンス的なものになりますが、逆に殺伐とした雰囲気の園は、職員同士の仲が悪かったり、子どもの様子が荒れていたりすることが多いので、この雰囲気の良さはとても重要なものと言えます。
また、教育制度がしっかりしている園は、「立派な保育者を育てよう」という意識が高いため、長く勤める職員が多いです。
さらに、『給料面が良く、残業が少なく、休日が多い』ことも共通しています。
労働条件が良いと、職員の心にゆとりが生まれ、和やかな雰囲気で仕事をすることができるのです。
つまり、労働条件の良さは園全体の雰囲気と繋がっているとも言えます。
最後に決め手となるのは、『職員の年齢層』です。
ベテラン、中堅、若手、様々な年齢層がいる園は離職率が低く、逆に若手ばかりで職員数が少ない園は離職率が高い証拠とも言えます。
結婚・出産を経ても正規職員として働き続ける人が多い職場は、それだけ長く勤められる理由があります。
以上のように、離職率の低い職場は、職員が働きやすい労働環境であることが必須なのです。
離職率の低い幼稚園を転職する前に見抜くには?
離職率が低い幼稚園を見抜くには、『募集要項や口コミのチェック』『施設見学』が重要です。
転職活動の手始めとして、求人サイトで求人票を見る人は多いと思います。
ですが、その時に常に求人の募集をかけている幼稚園は要注意です。
求人を募集する頻度が多いということは、裏を返せば『全く人が集まらないような条件で募集しているか?』『採用しても続かずに辞める職員が多いか?』のどちらかです。
転職を検討するなら、求人の数や募集人数が少ない幼稚園を選びましょう。
また、応募する際は「口コミ・評判」も参考にしましょう。
「〇〇幼稚園 口コミ(評判)」で検索して、検索結果に求めている情報が出てくるとは限りません。
また、ネットの掲示板に書かれている口コミの信ぴょう性も怪しいものがあるので、100%信じるべきではありません。
あくまで参考程度に捉えることが大切ですが、一度調べておく価値はあります。
また、面接の際は「その場で採用する園」にも要注意。
職員の質よりも、とにかく人員確保を優先している園も多いです。
そういう園は離職率が高いと想定されるので、ある程度の緊張感を持った面接をする園の方が信頼できます。
また、幼稚園の様子を具体的に知りたいのなら『施設見学』がおすすめです。
面接時に施設見学ができる園が多いので、もし面接日の内容に見学が含まれていなかったら頼んでみましょう。
見学をすれば、職員同士の様子や、子どもの様子など職場全体の雰囲気が分かります。
その中でもチェックすべきなのは、職員の年齢層と雰囲気。
ベテラン、中堅、若手、様々な年齢層がいるかどうか、職員の年齢の比率を必ずチェックしてください。
また、挨拶をして、その反応や職員同士のやりとりを見て、職員の雰囲気が良いかどうかも忘れずに注目しましょう。
働きやすい幼稚園・保育園を探すには保育士転職サイトの登録がおすすめ
今よりもっと働きやすく条件の良い職場を探しているなら、保育士・幼稚園教諭向けの転職サイトを活用しましょう。
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WEBで公開されてる求人以外にも、非公開の好案件も紹介してくれるので、離職率の低い幼稚園も紹介してくれます。
さらに、履歴書の添削や面接対策もしてくれるので、初めて転職する人にはとても心強いサービスで、これを利用しない手はありません。
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保育士・幼稚園教諭として長く働き続けるためには、職場環境が何よりも大切です。
離職率の低い園は、「労働条件が良く、人間関係が良い」という共通点があります。
いくら人間関係が良くても、給料が安くサービス残業が多ければ、長く働き続けることはできませんし、その逆も同じです。
長く働き続けるために、まずは自分の希望に見合った職場を見つけることから始めてみましょう。