結婚や出産を機に保育現場を離れたり、一度は別の職種に転職したものの「やっぱりまた保育士をしたい!」と考えている保育士や幼稚園教諭の方は、『長期間、仕事を離れてブランクがあっても保育現場に復帰できるのか!?』気になりますよね。
「現場に復帰して体力的・年齢的に仕事についていけるのかな?」
「今の保育についていけるのか不安?」
「仕事と家庭のバランスを取りながら上手に働けるのか?」
などの不安はつきもの。
厚生労働省の調査によれば、『潜在保育士(※保育士資格は持っているが、現在保育士として働いていない人のこと)』は、平成25年時点で約76万人おり、保育現場を離れた方が非常に多いのです。
ソース:<保育士等に関する関係資料:厚生労働省>
この記事では、1年以上のブランクがある保育士さんが再就職するために、様々な悩みの解消や、スムーズに復帰する方法を紹介します。
さらに、休んでいた期間が長い人向けに、面接で使えるアピールの仕方や、応募書類に記載する志望動機の書き方・例文も紹介するので参考にしてください。
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ブランクが長くあっても保育士は復帰しやすい?
出産や子育てなどで1年以上のブランクが空いてると、「職場復帰するのはかなり大変なんじゃないか!?」と不安視する声も大きいです。
しかし、結論から申し上げると、あなた思っているよりもかんたんに現場に復帰することができます。
「保育士に復帰したい!」と考え始めたその日からできることを、少しずつ行動に移していきましょう。
以下で、よく聞く悩みについて回答させていただきましたので、参考にしてください。
【悩み別に解消】保育士が仕事に復帰することへの不安
① 育児と仕事の両立はちゃんとできるのか?
お子さんの年齢にもよりますが、子どもがまだ小さい場合は、働き方を「非常勤」や「パート」で働くことも視野に入れましょう。
「週何日、1日何時間であれば無理なく働くことができるのか?」
まずは自身の家庭の状況と照らし合わせることが大切です。
家庭を犠牲にしながら働くのは、心身ともに限界をきたしてしまいますので、もし何か起こった時に頼る人が周りにいるのかも考えておいた方がよいでしょう。
保育士や幼稚園教諭の仕事に復帰するにあたって、旦那さんや両親などの援助や理解が得られるのか、周りの状況も把握しておくことをオススメします。
② 保育園の仕事についていけるか?体力面での不安
ブランク明けでいきなり主担任を任されることはまずないと思いますが、もし希望を出せるのであれば
「乳児クラスか幼児クラスのどちらがよいのか希望を出す」
ことをオススメします。
乳児と幼児では生活や活動時間も違うので、どちらの方が自分に合っているのか考えて無理なく働けるようにしましょう。
また、保育園が一番バタバタするのは、給食や午睡明けの時間なので、その時間を避けて勤務することも1つの手です。
朝一番やラストだけの勤務でも可能かなど、確認しておくのもよいでしょう。
③ 再就職した保育園で人間関係を上手く構築できるか?
保育士が辞める1番の理由は、『他の先生との人間関係のトラブルによるもの』が最も多く、「復帰して他の先生と上手くやれるか」を不安視する声が非常に多いです。
特に5年、10年のブランクがある保育士さんとなると、年下の上司・先輩がたくさんいることになるので、年齢の若い保育士のの意見も柔軟に聞き入れることが大切です。
保育士の職場は、女社会かつ独身者が多くいるので、プライドが高く残念ながら家庭を持つ人に対して理解がない人がいることもあります。
ですので、復帰の際は働きやすい環境の保育園を探すことに力を入れましょう。
職場探しのポイントとしては、結婚しても続けられる環境、ブランク明けの人が働いている園を選ぶことが解決に繋がります。
30代、40代からでも復職できる?(ブランク3年~10年程度)
保育士になるために年齢制限はないので、子育てを一通り終えて、一段落ついた30代、40代の方が復職しやすいとも言えます。
最近は特に『潜在保育士』の募集に力を入れているところも多く、長期のブランクがあっても、採用したいと考える保育所はかなり多いです。
家庭でも比較的自由が利き、時間的にも気持ち的にも余裕が出てくる頃なので、家庭との両立を上手くこなすことができればスムーズに復職できるでしょう。
ブランク明けに復帰するなら正社員がいい?それともパート?
復帰する際に気になるのが勤務形態ですが、家庭の事情や置かれている環境によって、正社員、パート、派遣どれを選べば良いのかは違ってきます。
「自分はどんな働き方がベストなのか?」を考えながら、就活の参考にしてください。
仕事のブランク期間が短い場合は『正社員』として応募がオススメ
ブランクの期間が1年から3年程度と、それ程長くない場合は、正社員でもすぐにブランク期間は挽回できます。
保育の現場から離れている期間も自身で勉強に励んでいたり、保育事情に詳しい人は最初から正社員でも全く問題ないでしょう。
ブランク期間が5年以上あるなら『パート』も検討しよう
あくまで目安ですが、ブランクが5年以上あれば、「最初はパート職員として慣れてからいずれ正社員で働く」という手もあります。
正社員を見据えているのであれば、正社員登用がある園を探しましょう。
パートであっても、もちろん責任感をもって働かないといけませんが、正社員に比べれば仕事内容も少なく保育に集中できますよ。
悩むなら『派遣保育士』として働くこともオススメ
もしも働き方を決めかねている場合は、派遣保育士として働くことも視野に入れてみてください。
派遣の方がパートよりも時給がいい場合もあり、また、間に派遣会社が入ってくれるので、保育園で何かトラブルが起こったときにも心強い味方となってくれます。
復帰のために何か勉強は必要?
長年のブランクがある保育士だけでなく、現役の保育士にも言えることですが、常に勉強は必要です。
というのも、日本の保育事情は日々変化しているため、勤めていた頃とは違った環境になっていることが多くあります。
例えば、
- 昔はうつぶせ寝を推進→現在「乳児突然死症候群を防ぐため今はあおむけ寝」
- 幼稚園、保育園→現在「認定こども園の増加」
などの制度を取り入れているため、最低限の勉強は欠かせません。
ですが、どのように勉強すればいいのか分からないという方も多いと思います。
その場合は、研修やセミナーに参加するというのも良いでしょう。
自治体や民間が行っている研修やセミナーに積極的に参加し、現在の保育の仕組みや内容を学ぶことも大切です。
参加することで自信がつき、復帰する近道にもなりますよ。
園の方針が自分の保育観と合うかを確認
園によって色々な規則や取り組みがあるので、まずはその園の方針に自分の考えが合うのかを確認しましょう。
実際に勤務してみないと保育園の内情は分からないものですが、復帰前から勉強や研修に参加していると、今の時代の保育がどのようなものなのか知ることもできますよ。
ブランクOKの保育士求人の探し方
求人探しのおすすめは求人サイトの活用です。
保育士求人サイトには「ブランクOK」と書いている求人は多くあるので、ココを必ずチェックするようにしましょう。
求人サイトで仕事を検索する際は、地域を絞り、フリーワード検索から「ブランク」と単語を入力すれば、採用されやすい保育園や幼稚園が見つかります。
また、求人サイトは、サイト上に公開されていない「非公開求人」も多いので、条件の良い求人を探したいなら、保育士求人サイトに登録(無料)をしておくことをオススメします。
保育士求人サイト以外でお仕事を探す際も、
- ハローワークでは担当の人に事情をきちんと伝える
- 保育園のツテがある場合でも「ブランクがあっても可能か」を確認する
などの、今のあなたの情報を的確に伝えることが、今後に結びついてきます。
① 行政の保育士、保育所支援センターを活用する
保育士、保育所支援センターとは、主に潜在保育士を対象に就職をサポートしてくれる行政の取り組みです。
この支援センターでは、ブランクのある人向けに保育実技研修や就職説明会を行ったり、ブランクがあることで生じる悩み相談にも応じてくれます。
自分に合った働き方や園を提案してくれるので、上手に活用してくださいね。
平成27年時点で全国に40ヶ所設置されており、無料で登録できます。
参考<厚生労働省:保育士・保育所支援センターの取組事例に関わる調査>
② 自治体がサポートする事業を活用する
各都道府県には、それぞれが実施している様々なサポート事業があります。
未就学児の子を持つ潜在保育士が再就職した際には、自分の子の保育料に補助が出たり、無料で研修や講義などを開催している地域もあります。
時期や内容も都度変わるので、自分の住んでいる地域のホームページなどをこまめにチェックしておくことをオススメします。
自治体が主催のものだと安心して利用できるので、積極的に活用してみてください。
③ 保育士転職サイトを利用する
保育士転職サイトは、自分の希望条件に合った保育所の求人を探して提案してくれるメリットがあります。
ネット登録なので、どこかに出向く必要もなく、担当者が付き、マンツーマンで手厚く就職・転職のサポートしてくれるので、これを活用しない手はありません。
また、セミナーを多数開催しており、再就職に向けて講習や実技研修などの支援、福祉に関する民間資格の取得なども行っているので、どんなものがあるのか探すだけでも面白いですよ。
自治体主催ではないので講習などに参加する場合は料金がかかることもありますが、サイトへの登録や利用はすべて無料です。
保育士転職サイトを上手く活用することが、復帰したい保育士さんが再就職成功のカギとなるでしょう。
ブランクがある保育士の面接対策
① 特技、過去の経験を武器にする
「ピアノが得意で簡単な曲なら初見で弾けます」
「手先が器用なので制作には自信があります」
など、面接では保育士ならではの自分の特技をアピールしましょう。
また、保育士時代に実際に行った経験も併せて伝えることで、過去に学んだことを武器にできます。
特に自信をもって言える特技がない場合は「体力には自信があります!」と、体力勝負の保育士には大切な健康管理をアピールすることもオススメです。
② 就業への意欲・積極性をアピール
面接で就業への意欲が見られなければ、「この人をぜひうちの保育所で雇いたい」と思われないのは当然ですよね。
面接は直接相手の顔を見て話せるチャンスです。
「自分はこんなことをやってみたい、これからもたくさん経験を積みたい」という気持ちをハキハキと伝えることを意識しましょう。
③ 子育て経験を活かせることもアピール
独身時代とは違った視点で保育を捉えることができるため、保護者とのコミュニケーションには自信がある、と考える人もいるでしょう。
こういった部分をアピールしていくと好印象に映ります。
他にも、自身が母親になったことで分かる保育のありがたさや大切さ、子育てと保育は違う中にも通ずることもある、などということを、自身の経験を踏まえて伝えるとより有利になります。
おすすめの志望動機の書き方・例文
重要ポイント『アピールポイントを明確にしよう』
自分が何を一番伝えたいのかを決めて、焦点を絞りましょう。
あれもこれもと付け加えていけば、長々とまとまりのない文章になってしまいます。
結局何が言いたいのか分からず読み手も混乱してしまうので、まずはアピールポイントを絞り、添削する際に面倒にならないように工夫しましょう。
保育現場から離れている間も、教え子たちと良好な関係を続けていることがアピールポイントとなる書き方です。
実際に親目線で見る保育園生活や、子育てで得た経験を活かすことを含めた書き方です。
再就職を考える保育士が復帰するために大切なこと
ブランクがあるからといって必要以上に気にすることはありません。
復帰前にできることを勉強したり情報を集めたりすることが大切です。
せっかく復帰したいと思ったのだから、その気持ちをモチベーションに変えて良い職場で気持ちよくお仕事を再開してください。
自身の状況やライフスタイルの条件に合った園で、楽しく復帰できると良いですね。