主任保育士とは、園長と一般保育士との間に位置し、大切な役割を担っている保育士のことを指します。
ですが、一般保育士からすると、主任の具体的な仕事内容や、給料事情についてはあまりピンとこないかもしれません。
そこでこの記事では、主任保育士の給料や手当額、主任になるための必要な経験年数についてホントのところを解説していきます。
また、主任ならではの悩みや、実際に主任として保育園で勤務する筆者の経験談も交えて執筆しているので、ぜひ参考にしてください。
目次で流し読み
主任保育士の給料は他の職員とそこまで大きくは変わらない
「主任になると、さぞかし給料も良いのでは?」と思われるかもしれません。
ですが、実際のところ、そこまで給料に差はありません。
主任保育士の給料は、「働いている園、残業の有無、地域差」などの違いもありますが、大体『手取りで18万円~22万円前後』になります。
基本給は勤続年数によって昇給していく園がほとんどで、手当の額は、一般保育士も主任保育士も基本的に同額です。
基本給は、勤続年数が長い主任の方が若干高くはなりますが、そこまで大きくは変わりません。
昇給額は、園によって差が出る場合がありますが、さほど変わらないと思って良いでしょう。
つまり、基本的には主任といえども、昇給していく額は他の職員と変わらないのです。
ただ、園によって「主任手当」が付きます。
手当の額は園によって異なりますが、私立の認可園では2万円~3万円、無認可の園でも1万円~2万円ほどとなります。
ただし、小規模な保育園や無認可保育園では、そもそも主任手当が支給されない園もあります。
実質的には学年主任という立場で業務を行っているにも関わらず、手当が支給されない園もあるので、そのような立場の保育士にとっては不満が溜まってしまうでしょう。
保育園における主任保育士の役割・仕事内容
主任保育士の仕事・やることリスト
- 保育士への保育指導
- 園長の補助業務
- 園だより、保健だよりなどの書類作成
- 年間カリキュラム、行事企画書の作成、確認
- 日案、週案、月案の作成、確認
- 園全体を把握し、円滑に運営するためのサポート役
- 保護者対応、子ども全員の様子を把握
- 園長と他の保育士との間に入って問題を解決
- シフト作成、職員のスケジュール確認
- 実習生、ボランティアの受け入れサポート、指導
- 地域との連携に対するサポート
- 園で使う画用紙や絵本などの備品発注、環境整備
主任保育士は園長と一般保育士の間に位置する立場なので、業務内容も多岐にわたります。
園長業務をサポートしたり、自分が主となって園の環境整備を行ったりと、保育現場だけのお仕事ではありません。
もちろん保育現場に入って一般保育士の穴埋めをすることもあります。
職員が急な体調不良で休んだ時や、会議や研修などでクラス業務が行えない時は主任保育士が保育に入ります。
そのほか、日々の書類を作成したり、一般保育士が作成した書類をチェックし添削することも大事な仕事のひとつです。
書類を通してだけではなく個々や口頭でも他の保育士に対する指導を行います。
保護者向けのおたよりを作成するのも主任の大切な仕事です。
時には保護者からの相談窓口になったり、必要があれば積極的に保護者とコミュニケーションを図ります。
上記に示した役割や仕事内容以外にも、細かい業務がある場合もあります。
ですが、基本的には園長や他の職員、保護者や子どもたちの様子や姿をきちんと把握して、円滑に運営ができるようサポートを行っているのです。
主任保育士ならではの悩みって?
園長とも一般保育士とも違い、中間管理職ならではの悩みを紹介します。
20代・30代前半だと、先輩保育士への指導が難しい
自分よりも経験年数の長い先輩、年齢が上の先輩を指導しなければならないケースが多々あります。
自分よりも年上の先輩への指導は本当に難しいです。
年上であるからこそ言い方にも気を遣い、保育歴が長い人へ指導するやりにくさも感じます。
先輩が温厚で話しやすい人であれば問題ありませんが、保育士は気が強くプライドが高い人が多いので、指導する際はストレスが溜まります。
保育現場だけでなく運営にも関わらないといけないプレッシャー
単純に業務が増えるといったことではなく、その保育園を運営する側に立つということが大きなプレッシャーとなります。
一般保育士だった時は、保育現場の把握だけで良かったのですが、主任ともなると運営にも関わらないといけない場面が増えてきます。
運営に対する知識が乏しい場合は、難しい業務に手こずることが増えるかもしれません。
プライベートの時間が減る
主任に昇格すると、仕事量が大幅に増えるため、休日も返上して仕事をしないと追いつきません。
主任保育士の仕事は園によりますが、それでも一般保育士に比べると、かなりの仕事量です、
なので、「プライベートの時間が確保できない」といった事態によく陥りますし、「せっかくの週末も仕事をしている」なんてことも頻繁にあります。
たまにある休みでも、保育士から連絡があれば対応しないといけないため、安心して休める時間が取れません。
主任保育士になるのに必要なキャリア・経験年数・年齢
認可保育園の主任になるには経験年数7年以上が目安
認可保育園で、主任になるための一つの目安としては、「経験年数が7年以上」です。
厚労省が2年前に発表した中堅保育士の副主任級の役職設置は、経験年数が7年以上となっています。
これは副主任、専門リーダーという位置づけですが、主任ポストとしても園によっては可能です。
ただし、これは認可保育園のみの目安であり、身内経営の園ではその限りではありませんので、ひとつの目安として考えてくださいね。
小規模保育園・認可外保育園では、経験年数はそれほど求められない
ただし、小さな保育園や無認可の保育園では、認可保育園ほど経験年数は重要視されません。
経験年数よりも、その人の仕事ぶりや能力によって左右されることが大きいからです、
なので、保育士歴が浅くても主任ポストに抜擢されるのは可能です。
何歳児クラスを受け持った経験があるかは重要な判断基準
主任に適している人物かどうかは、幅広い知識や経験が重要な判断基準になるため、「何歳児を何回受け持ったことがあるのか?」という点がすごく大切になります。
例えば、0歳児~2歳児の乳児クラスのみしか受け持ったことのない保育士は、「幼児に対する知識やスキルが足りない」と判断され、主任には適さないですよね。
また、逆に幼児クラスしか持ったことがない保育士も同様で、乳児に対する知識が乏しいと判断されてしまいます。
保育園は0歳児~5歳児という幅広い年齢の子どもを預かっているため、保育士にも幅広い知識と経験が求められるのです。
主任保育士に多い年齢は50代
主任保育士に多い年齢は50代。次いで40代、30代となっています。
参考:日本保育協会、調査票調査
しかし、保育園によっては30代、40代でも主任に抜擢される人もいるため、必ずしも50代にならないと主任になれないわけではありません。
経験年数も大事ですが、保育に対する積極性や能力も非常に大切になってくるので、前向きに主任を目指すようにしてくださいね。
保育士歴8年目で主任に抜擢された私の体験談
私は大学を卒業後、認可保育園、無認可保育園、小規模保育園、院内保育園と転職を繰り返してきました。
転職理由は、「人間関係」「給料の低さ」「やりたい保育内容との相違」など様々。
現在は、株式会社が運営する院内保育園で、自分のやりたい方針とマッチした保育を行える保育園の主任に抜擢されました。
保育士歴は8年目ですが、転職を繰り返しているため、現在の保育園での経験はそこまで長くはありません。
それでも主任に選ばれたのは、『保育に対する意見を積極的に園長や他の職員に伝えていたから』だと、自分では思っています。
その他にも、今までに経験してきた園でのノウハウを活かして保育を取り入れた結果、評価していただけました。
どれだけ立場が上の人でも、自分の考えはきちんと言える会社の環境が、自分に合っていたのだと思います。
ひとつの園で長く勤めるのも大事です。
ですが、自分が楽しんで保育を行えないとモチベーションも上がらず仕事ができないので、気持ちよく働ける環境で上を目指すというのはとても大事だと感じています。
主任保育士を募集している求人の探し方
求人探しのポイント
- 保育士情報を多く扱っている求人サイトで紹介してもらう
- ハローワークや求人誌から探す
- 母園、母校、知り合いなどからのツテ
保育士の情報をたくさん扱っている保育士求人サイトであれば、主任保育士に絞って探すことも簡単にできるのでオススメです。
他にも地元の求人誌や職安などに出向いて直接探すやり方もできます。
いきなり主任保育士を探すのは難しいと感じるかもしれませんが、自分が通っていた園に行って聞いてみたり、通っていた大学から情報を集めたりするのも有効です。
保育士の知り合いや先輩から有利な情報を聞くこともできるため、ツテを探してみることも主任保育士になるための第一歩です。
主任保育士を目指す時に注意すべきこと
自分の目指す主任と、その園が条件にあっているかをきちんと調べることが大切です。
そして、園の雰囲気や園長の運営に対する姿勢を見極めることも非常に重要です。
主任保育士といっても、園によって業務に差はあります。
園長がしっかりと運営を行っている園であれば主任保育士もスムーズに運営側に回れますし、そうでない園長の場合は苦労することも多いでしょう。
仕事量は一般保育士よりも増えますが、良いところも多く、非常にやりがいが大きいのが主任保育士です。
仕事に追われてストレスを溜めるのではなく、前向きに取り組むことができるよう、自分に合った園選びをするようにしましょう。