保育士の持ち帰りの仕事の悩み・実態と、減らすコツ・ポイントは?

保育士は『持ち帰り業務が多い』職業です。

勤務時間内だけの業務では仕事が終わらず、家に仕事を持ち帰ってまで仕事をする保育士が多く、その大変さから保育士を辞めてしまう人も多いです。

もしかしたら、持ち帰りの仕事が発生するのは、「業務時間内に仕事を終わらせない人に問題があるのでは?」と思う人もいるかもしれません。

ですが、保育士は残業をしてもなお、自宅に持ち帰ってまでやらなければならない仕事が山ほどあるのです。

本記事では、持ち帰り仕事で悩む保育士の実態や、持ち帰り仕事をしないように普段からできる工夫やコツなどの対策方法をお伝えさせていただきます。

実際に筆者も、持ち帰りの仕事で、休日返上してまで仕事をしていたので、かなり役に立つ情報が見つかると思うので、参考にしていただければ幸いです。

保育士の持ち帰り仕事の悩み、大変さ

業務時間は子どもの保育だけで精一杯

保育士が最優先でやらなければいけない業務は「子どもの保育」です。

他にも、書類作成などやるべき業務はたくさんありますが、業務時間内は子どもの保育で終わってしまい、色々な仕事に手が回りません。

また、保育をしながら書類作成など、ほかの業務を並行して行うことは、保育に専念できていないこととなり、子どもがケガをした際に責任を問われる原因ともなります。

なので、「業務時間は子どもの保育しかできない」現状があるのです。

正社員の数が少なく、残業時間も子どもの保育で終わってしまう

一般的な会社員の場合は、仕事を持ち帰らないために残業をします。

しかし、保育士の場合は、自分の持ち帰りの仕事を減らすために残業時間を活用することはできません。

なぜなら、保育士の残業時間は、基本的に子どもの保育の時間に充てられるからです。

 

保育士1人が、保育できる子どもの人数は、子どもの年齢に応じて決まっています。

そのため、その保育士の就業時間を過ぎても、子どもの人数と比率が合わない場合は、残業時間として引き続き、子どもの保育をしなければなりません。

また、パートの保育士は残業時間が適用されないので、正社員の保育士が残って子どもの保育をしなければなりません。

つまり、書類作業などやらなければいけない仕事があったとしても、最優先すべきは子どもたちの保育です。

残業時間も必然的に子どもの保育に充てる必要があり、そのため書類業務などは後回しとなり、仕事は自宅に持ち帰らざるを得ない状況になってしまうのです。

【体験談】初めて就職した保育園で持ち帰り仕事に追われ休日返上…

筆者の体験談

実際に、筆者も初めて就職した保育園では、持ち帰りの仕事の多さに苦労しました。

当時は1年目の新人保育士の上に、担任も任され、慌ただしい毎日でした。

とくに大変なのは『月末』です。

 

月案の提出や、個別の記録や個別の保育計画も毎月提出しなければならないので、月末は書類の締め切りが重なります。

壁面制作などは、パートの保育士に手伝ってもらうこともできます。

ですが、書類作成は基本的に担任の保育士しかできない業務なので、すべて一人でやらなければなりません。

 

月末になると、帰宅後の時間だけでは足りず、せっかくの休日も持ち帰りの仕事で終わってしまうことも多く、休日返上で書類作成に追われていました。

週休2日制のはずが、大量の持ち帰りの仕事のために、確実に週休2日も確保できる状況ではなかったのが、当時遊びたい盛りのわたしにとってはすごく苦痛でした。

保育士の持ち帰り仕事は主に「書類作成」と「造形(壁面制作など)」

保育士の持ち帰り仕事の種類
  • 月案などの保育計画関係の書類
  • 個別の記録
  • クラス便り
  • 季節ごとの壁面制作
  • 保育時間内で行う制作の下準備
  • 行事の準備

持ち帰りの仕事の種類としては、主に「書類作成」「造形(壁面制作など)」の2つに分けられます。

 

1つ目は『書類作成』です。

書類にも様々な種類があります。

保育計画の書類
  • 毎月作成する月案
  • 毎週作成する週案
  • 毎日作成する日案
  • そして子どもそれぞれの個別の保育計画

など、保育計画関係の書類だけでも、たくさんの種類があります。

さらに、子どもそれぞれの個別の記録や、毎月発行するクラス便りも作成しなければなりません。

それほど種類が多くないとも感じるかもしれませんが、個別の記録はクラス全員分の記録をしなければならないので、膨大な量になります。

 

そして、もう1つは『造形関係』です。

壁面制作は、季節に合わせたものを毎月作らなければなりません。

1つだけではなく、壁面全体を飾らなければならないので、たくさんの造形物をつくる必要があります。

さらに、毎日の保育の中で制作活動をするにあたって、下準備をしなければなりません。

これも、クラス全員分の準備が必要ですし、また、運動会などの行事があれば、その計画や準備もしなければなりません。

このように、毎日の保育業務のほかに、保育士の業務はたくさんあるにも関わらず、残業時間は保育業務に充てられるので、持ち帰りの仕事として行うしかないのです。

保育士さんの持ち帰りの仕事を少しでも減らすコツ・ポイントは?

保育士は持ち帰り業務をしなければならない状況に置かれながら毎日働いています。

しかし、毎日の業務の中で工夫をすれば、持ち帰り業務を減らすことができます。

ここでは、いくつか持ち帰り業務を減らすコツを紹介します。

① 業務時間のスキマ時間を使う

基本的に、業務時間は子どもの保育に専念しなければならないので、書類作成をしている暇はありません。

しかし、子どもの保育をしている中でも「スキマ時間」があります。

例えば、午睡の時間です。

午睡中、保育士は午睡チェックをしなければなりませんが、午睡チェックはパートでもできます。

午睡チェックはパートに任せて、子どもが午睡中に書類作成をするようにしましょう。

このように、業務時間中のスキマ時間を見つけて、上手に活用することで、持ち帰り業務を少しでも減らすことが可能なのです。

② 一人でやるのではなく、パート保育士に協力してもらう

書類作成は、正社員の保育士しかできない仕事です。

しかし、壁面制作や制作の下準備などは、パートの保育士さんでもできる仕事です。

すべての業務を自分一人で行うのではなく、パート保育士にも協力してもらうことで、持ち帰り業務を減らすことができます。

正社員保育士でなくてもできる仕事を見極め、パートにも協力してもらいましょう。

③ 仕事をため込み過ぎない!計画を立てて月末を乗り切る

書類の提出期限は、月末に重なりがちです。

月末にすべての書類を終わらせようとすると、間に合わない可能性が高いです。

行事などがない限り、提出する書類の種類は毎月同じです。

なので、いつまでにどの書類を終わらせるなど、計画を早めに立てて、計画的に書類作成をすることで、月末に大量の仕事を持ち帰らずに済みます。

持ち帰り業務にサヨナラ!持ち帰りの仕事のない、少ない保育園に転職を考える

時間の使い方を工夫することで、持ち帰り業務を減らすことはできます。

ですが、できることならば、持ち帰り業務はしたくないのが本音ですよね。

もっと土日や家に帰ってからのプライベートの時間を充実させたいと思うなら、『持ち帰り業務のない、もしくは少ない保育園へ転職する』ことを早めに検討するべきです。

持ち帰り業務がな、少ない保育園を求人から見分けるポイントは?

持ち帰り仕事のない保育園をさがすなら、「残業禁止」を掲げている保育園に着目してください。

残業禁止と聞くと、「残業ができないため、持ち帰って仕事をしなければならない」と考えがちですが、その逆です。

残業禁止ということは、「残業にならないように、業務時間内で仕事を終わらせるようにする」ということです。

つまり、書類作成などの時間も、業務時間内に確保できるのです。

 

また、もう一つの見分け方のポイントとしては、『パートやアルバイトも募集している保育園』であるかどうかです。

パートやアルバイトの保育士がいない保育園の場合、書類作成のほかに、壁面制作なども自分一人でやらなければいけないので、持ち帰り業務が増える可能性があります。

だからこそ、パート、アルバイト、派遣などの非正規職員の募集もしっかりしている保育園の方が、正職員は働きやすいことが想定されます。

正社員求人だけでなく、パートやアルバイトの保育士も同時に募集しているかも確認しておきましょう。

プライベートな時間をちゃんと作れる保育園で働き、公私ともに充実した毎日を送ろう

減らすコツやポイントを紹介してきましたが、保育士が自宅での業務をなくすのは、保育士個人の工夫では限界があります。

「職員の数の増加」「働き方の改善」など、保育園自体を変えなければ、持ち帰り業務は減らすことができません。

ですが、思い切って転職をすることで、持ち帰り業務がなくなり、休日返上で書類作成に追われる日々ともサヨナラできます。

転職と共に、持ち帰り業務ともサヨナラして、公私ともに充実した毎日を手に入れましょう。