現在、保育士不足が叫ばれていますが、2015年の厚生労働省の調査によると、保育士資格を持っているが、保育士として働いていない「潜在保育士」が約76万人もいることが判明しました。
しかし、実際に保育士として現役で働いている方は『43万人』に留まり、保育士資格を持つ半数近くの人が、『資格はあるけど働いていない潜在保育士』という実情があります。
保育士資格があるのに保育の仕事に就かない理由は、
「給料が安い」
「残業や持ち帰り仕事が多い」
など色々な理由が挙げられますが、根源には「働きにくさ」があります。
では、どのような条件を満たせば、保育士は仕事がしやすいと感じるようになるのでしょうか?
本記事では、働きやすい保育園の条件と探し方について徹底的に考えていきます。
保育士の持ち帰りの仕事の悩み・実態と、減らすコツ・ポイントは?目次で流し読み
保育士が働きやすい保育園を探すには?絶対に抑えておきたい3つの条件
① 保育方針が理想に近い、合っている保育園
各保育園や幼稚園では「保育方針」を掲げ、それに沿って保育を行っています。
保育方針とは、その保育園で「どのような保育を行っていくか」を明らかにしたものです。
保育方針の具体的な例としては、
- 食育に力を入れている園
- スポーツに力を入れている園
- 芸術面のカリキュラムを行っている園
など、各保育所によって保育方針は多岐に渡ります。
もしも、あなたが持つ保育観が「子どもは遊びを通して学ぶ」というものなのに、保育園の保育方針が「遊びよりも英語や芸術などのカリキュラムを重視する」だとしたら、あなたの保育観と保育園の方針は真逆なものになります。
果たして、あなたの保育観に合わない保育方針を掲げる保育園で、あなたはのびのびと働けるでしょうか。
このような点で、あなたの保育観と保育園の保育方針が合致しているかどうかは、理想の保育園で働くために重要なポイントとなるので、最初に必ずチェックしてほしいポイントになります。
② 職員の人間関係が良好な保育園
保育園で働くために大切なことは、ほかの保育士との連携です。
その連携のためには、良好な人間関係を築く必要があります。
実際に、厚生労働省が行った保育士に対してのアンケートで「転職をするにあたって職場環境の不安要素はなんですか」の質問に対し、「人間関係」と答えた人が『28.2%』と離職理由の2番目に多い数字でした。
このことから分かるように、転職するにあたり、先生同士の人間関係に対して不安に思う保育士や幼稚園教諭は多いです。
全職員と良好な関係を築くことは難しいとは思いますが、働くにあたって良い雰囲気の中で働きたいですよね。
良い職場かどうかを判断するには、実際に園見学に行くと職員間の会話などでわかります。
保育士同士の人間関係が良好な保育園は、保育園の雰囲気も良い傾向にありますからね。
働きやすい保育園を探すには、人間関係も大切な要素になるので、ここも注視しておくと良いでしょう。
③ 給料や休みなど労働環境が整っている保育園
保育士に辞めた理由を聞くと、「給料に対して仕事量が見合っていない」という声を多く聞きます。
実際のところ、保育士は他の職業の平均年収に比べて低いです。
しかし、給料が低いにも関わらず、残業は当たり前のようにあります。
さらに、残業は保育時間に充てられ、掲示物や造形の準備は自宅に持ち帰らなければなりません。
このことから、保育士は時間外労働が多いことがわかります。
このような労働環境の悪い保育園は数多く存在します。
労働環境が良い保育所は、ほんの一握りしか存在しないのが実情です。
そのような実情があるため、近年自治体をあげて保育士の労働環境改善が行われています。
完璧な労働環境が整うまでは時間がかかりますが、以前に比べて保育士や幼稚園教諭を取り巻くお仕事の環境は改善されています。
保育士が『働きやすい』と感じる!理想の保育園の探し方
STEP① 「これだけは外せない」という待遇などの条件を決める
人によって、理想とする働きやすい保育園の条件は異なります。
ですが、あなたの望む100%理想の保育園があるとは限らないので、ある程度の妥協は必要になります。
重要なのは、『どこを妥協して、どこを譲らない条件とするか?』です。
例えば、
「先生同士の人間関係が良さそうを重視するけど、保育方針はこだわらない」
など、
「ココだけは絶対に外せない点」
「ココは少しならしょうがないかな」
というポイントをきちんと自分の中で整理することで、働きやすいと感じる保育園探しに一歩近づきます。
実際に、筆者も転職の際には、重視する点・妥協する点をしっかり整理してから保育園探しに臨みました。
私は、人間関係と通勤時間を重視しました。
ですが一方で、お給料や賞与などは妥協しました。
しかし、そのおかげで「働いてよかった」と思える保育園に出会うことができました。
100%理想の保育園を探し出すのは、全国に引越しする覚悟がないと難しいです。
ですが、自分に負担のない程度の範囲で選択することで、以前の職場よりはるかに良い保育園が見つかるはずです。
まずは、あなたが保育所に求める点と、ここは妥協しても良いという点を自分の中で整理しましょう。
STEP② 複数の保育士転職サイトに登録する
理想の保育園の条件を自分の中で整理したら、次は実際に転職活動の足場固めです。
保育士の転職の方法は、色々な方法・手段があると思いますが、わたしが実際に転職活動で利用してみて、1番良かったのは保育士転職サイトの登録・活用です。
保育士転職サイトをおすすめする理由は、保育士や幼稚園教諭向けの求人のみ掲載されている専門サイトなので、保育園や幼稚園に絞って求人を探すことができます。
また、電話やメールの対応をしてくれる担当コンサルタントも、保育園転職の専門なので、専門知識や求人紹介に長けているので、これを活用しない手はありません。
ですが、運営サイトによって強みを持つ地域や求人が異なります。
- 履歴書や面接の指導が手厚いサイト
- 東京や神奈川の保育士求人に強いサイト
- 派遣保育士の募集に力を入れている
など、運営サイト毎に特色が大きく異なるので、なるべく2つ~3つの複数サイトに登録することが転職成功のポイントになります。
複数のサイトに登録しておくことで、条件にマッチする職場に出会える確率も上がります。
このような観点から、保育士転職サイトには、少なくとも2~3つほど同時に登録しておくことをオススメします。
STEP③ 園見学(職場見学)は必ず行う
園見学(職場見学)は転職を検討する際に必ずするべきです。
求人票に「この保育園はアットホームな雰囲気です」と書かれていても、実際に働くあなたがどう感じるか?が一番大切です。
そのため、求人情報に書かれていることを鵜呑みにするのではなく、実際に園見学をして、あなたの肌で雰囲気を確かめてください。
また、保育士転職サイトではこのような園見学の手配も希望すれば、見学予約から日程調整まで、すべて代理でやってくれるので、あなたへの負担は少なく済みます。
STEP④ 面接で自分に合う職場かどうかを最終確認
園見学もして、実際の雰囲気がわかったところで、面接で採用担当者と話をしてあなたが考える働きやすい保育園かを最終判断します。
保育園を選ぶ際に、転職サイトの求人情報や担当コンサルタントから「このような保育園である」と事前に情報は得られていますが、採用担当者はその保育園の人間なので、どの情報よりも確かな情報を得ることができます。
また、「採用担当者に直接質問するのは少し遠慮してしまう」という人は、転職サイトの担当コンサルタントに頼めば、あなたの代わりに採用担当者に質問もしてくれます。
この面接において、あなたが思っているすべての疑問を解決し、あなたが考える理想の保育園なのかを判断することが大切です。
あなたが働いてみたいと思える保育所を探してみよう
転職はあなたの長い人生において、転機になる重要な出来事になります。
転職するのは、気力も勇気もいることで大変ですが、あなた自身が働きやすいと感じられ、生き生きと働くことができる保育園に巡り合えたら何より幸せなことでしょう。
『完璧』を見つけるのはそう簡単ではありませんが、理想に近い保育園を探し出すことは可能です。
あなたが思い描く働きやすい保育園、幼稚園について情報を自分の中で整理し、新たな一歩を踏み出しましょう。