幼稚園教諭を辞めたい理由や悩みと、辞めるタイミングは?

子どもが憧れる職業にも出てくる「幼稚園(保育園)の先生」という仕事。

ですが、実際に就職してみると、「体育会系の縦社会」「年功序列」といった雰囲気の幼稚園も多く、働きにくさを感じている人も少なくありません。

小さな頃からの夢だった幼稚園の先生になったものの、想像していた仕事と違って、辞めてしまう幼稚園教諭が後を絶たないのです。

本記事では、幼稚園教諭を辞めたい人がどのようなことで退職・転職を考えているのかの悩みや、実際に幼稚園教諭を辞めた筆者の経験を述べつつ、辞めるタイミングについて記載しています。

もし、今の幼稚園を辞めたいと思い悩んでいるなら、参考になることが必ずあるので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです。

私立幼稚園の離職教員数は8999名にも

私立の幼稚園教諭の離職について、『平成28年度の学校教員統計調査』を調べてみました。

統計調査を詳しく見ていくと、『ベテランの世代の教諭と10年未満の若い世代の教諭の二分化』になっていることがデータから分かりました。

「私立幼稚園に所属する教員の平均年齢が、34.7歳から35.3歳に上昇

「50歳以上の教員の比率が、16.1%から17.3%に上昇

「しかしその一方で、採用者人数が平成25年度に比べ、9662人から9191人に減少

「30歳未満の教員の数が、53.0%から49.5%に減少

などの点から、『全体的にベテランと呼ばれる教員数が増え、新規採用者や30歳以下の若い教員の数が減っている』ことが考えられます。

 

離職者数は、定年退職者を含み10232人であったのに対し、8999人と減少傾向です。

ですが、これは前回調査時は団塊の世代の退職者が多かったことが背景に考えられ、『若年層の教員が早期に退職をするケースが増えている』のが、このデータから分かります。

幼稚園教諭を辞めたいと思う理由・悩みは?

早朝・居残り・延長当番まで、シフト勤務が辛い

早朝の当番に加え、居残りや延長で預かり保育を行っている幼稚園が増えています。

幼稚園では、通常であれば、14時~14時半には園バスで降園していく子どもたちがほとんどですが、19時~20時まで子どもを預かる「預かり保育」を行っている園が増えてきました。

この預かり保育は、政府で無償化の方針を打ち出しているため、預かり保育を行う園が増えてくることは必至です。(平成30年度5月調査時)

そのため、そこに配置される教員の確保が必要となってくるので、こうした早朝勤務や居残り・延長を行う勤務が増えてくることが明らかです。

 

こうしたシフト勤務が入ると、勤務時間が不規則になるだけでなく、当番に当たっている場合、通常保育の準備ができないうえ、勤務時間が長くなってしまいます。

とくに早朝勤務の当番の場合、7時に開園する幼稚園であれば、15~30分前に出勤することが暗黙のルールのように言われる幼稚園も少なくありません。

早出や残業した時間も、給料に反映される園もあるかもしれません。

ですが、早朝や延長保育を行っている部分のみ手当支給されるケースがほとんどで、早出や残業した時間分はサービス残業として給料に反映されないことも少なくないのです。

 

園によっては園バス専任の教員や、居残り延長担当の教員がいたりすることもあります。

ですが、少ない職員でシフトをカバーしあっていることも多く、早朝と延長勤務が続くと体力的にきつく感じてきます。

園の教員全員がこのようなシフトで動いているため、自分だけ不満を伝えられる雰囲気ではなく、園の方針に従わざるを得ない状態になっていることも少なくありません。

仕事が終わらないので、持ち帰り仕事が多い

幼稚園教諭の仕事は、子どもたちの遊びや学習支援だけでなく、

こんなにある幼稚園教諭の仕事
  • 通常保育の制作などの準備
  • 壁面制作や環境構成
  • 教室や園の掃除
  • 園だよりやクラスだよりの作成
  • 学期ごとにある要録の作成
  • 個別の記録や日案、週案、月案、年間計画の作成
  • 大きな行事の前には制作物や衣装の作成

など沢山の業務があります。

全ての仕事を勤務時間内にすべてこなすことは難しいので、家に持ち帰って行うことも多く、帰宅後や休日は、持ち帰り仕事やピアノの練習などでつぶれてしまうことも少なくありません。

また、子どもたちが遊びや行事で使うものを、勤務後や休日に自分でお店を覗いて探すことも日常茶飯事です。

こうした前準備の仕事に終わりはなく、常に仕事と向き合っている状態になりがちです。

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給料が低く、休みにくい

私立幼稚園の年収は平均すると200万~300万円前後です。

公立幼稚園や保育士と比べて最も低く、昇給も少ないです。

また、私立の幼稚園の教諭は、1年目からクラス担任を任されることもあり、簡単に休むことができません。

有給はあるものの、夏休みや冬休みなどの子どもたちが少ない時期でしか有給消化できないのが現状です。

また、子どもが夏休みの時期でも、預かり保育などで子どもが登園している場合や、園の方針で長期休暇も当番制で出勤するケースも多いので、長期休暇を取って海外に旅行に行くこともそう簡単には決断できません。

私立幼稚園は人材不足の園が多く、フリーの教員もおらず、体調不良などで急遽休んだ場合の補填が効きにくい側面も、休暇取得をしにくい背景にあるといえるでしょう。

職員同士の派閥など、人間関係が複雑

ベテラン教員の多い幼稚園では、「指導方法や教育方針の違い」「ベテランの教員の性格」にも大きく起因することも多いですが、派閥がある幼稚園もあります。

そうした派閥争いに1年目など若手の教員が巻き込まれてしまうと、「大きな行事などでの仕事がスムーズに行えない」「ベテランの先生の指示に従わないと雰囲気が悪くなり仕事がしにくくなる」などということもあります。

職員同士の派閥は、女性特有の集団でのいじめや陰口などのネガティブな感情や行動を起こす引き金にもなりがちです。

こうした派閥や人間関係の複雑さは、女性中心の職場では起こりがちで、特にチームワークを要求される幼稚園の世界では辞めたくなる理由に多く挙げられます。

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【私が感じた幼稚園の問題点】30代~40代の中間教員が少ない

1番の問題点は、『30代~40代の中間管理職的な立場にある教員の数が少ないこと』です。

人間関係を円滑にしたり、新人の悩みを聞いてくれるクッション的な存在のような役割をしてくれたりする人がいないのです。

なので、いったん人間関係がこじれてしまうと、そのまま長期に渡って悪い環境が改善されず、悪循環が続いてしまうのです。

30~40代の教員は、経験を踏まえ、1年目や若い世代をリードし、フォローしていく教育係のような役割を果たしていくのに相応しい年代です。

ですが、幼稚園では中間の年代の教員が少ないことから、十分な研修、フォロー体制がなく、自分の指導方法に行き詰ってしまう1年目や若手の教員も少なくないのです。

【体験談】わたしはこんな経緯で幼稚園を辞めました

体験談

私立の幼稚園に勤め始めて3年目。
初年度からクラス担任を任され、張り切ってクラス運営をおこなっていました。

 

ところが、ベテランの先生に目をつけられてしまい、ことあるごとに注意されるようになってしまいました。
大きな行事では、気が付いたことは確認しながらも率先して動いていても、「動きが悪い」と陰口を言われるようになり、そのベテランの先生の取り巻きの人たちからも、仲間外れにされるようになってしまいました。

 

また、園長先生は現場のことには関与したくない様子で、相談しても「現場で解決してください」の一点張り。
ベテランの先生は、主任先生や園長先生も巻き込んでいき、私の意見は全く通らない状態になり、頑張っても認めてもらえず、幼稚園では孤立無援になってしまいました。

 

大きな行事でミスをしたことから、ますます状況が悪くなり、子どもたちと一緒にいても笑顔でいられない日が続きました。
小さい頃から憧れていた幼稚園の先生が、こんな陰湿な職場だったとは考えたくありません。

 

「もっと自分を高めていきたい」

 

そう思って、ある日、他の園に勤める友達に園の様子を聞くと、「友達の働いている幼稚園は人間関係がとても良く、仕事がきつくても頑張れている」とか。
『他に自分らしくいられる幼稚園もあるのではないか?』と思うようになり、在職中に転職先を見つけて退職することにしました。

幼稚園教諭の仕事は辞めて良かった?後悔してない?

子どもたちとは良好な関係を築けていたので、辞めることに戸惑いはありました。

ですが、全く後悔はしていません。

その理由は、「体調を崩してまで嫌な人間関係の職場で働く必要はない」と思うからです。

自分の希望に合った雰囲気の良い職場を見つけられて、今は辞めてよかったと思っています。

幼稚園教諭を辞めるのにベストな時期はいつ?

退職しやすいのは、やはり「年度末」がベストです。

幼稚園は年度ごとに区切りがあるので、けっこう縛りがきつい職場です。

仕事の進退伺いは、11月~2月くらいに園長先生や、人事権を持つ主任や教頭先生から面談などで打診があります。

なので、その時に退職したいことを伝えるようにしましょう。

早めに伝えることで、幼稚園側が求人募集などの対応を取ることができるようになります。

年度途中で幼稚園教諭を辞めるのはどう?

幼稚園の教員を辞める際に、円満に退職できるのは年度末が基本です。

ただし、年度内に辞めることもできないことはありません。

年度途中に辞める場合は、夏休みや冬休みなどの長期休暇前や大きな行事の後に退職するのがタイミング的にも良く、また現場の教員たちの業務や精神的な負担も少ないです。

また、幼稚園側が求人を出すタイミングとしても良い時期と言えるでしょう。

 

ですが、担当しているクラスの子どもたちに与える影響を考えたら、本来はできるだけ年度途中での退職は避けるべきです。

年度末までしっかりと勤め上げることで、責任を果たし、子どもたちの成長を見届けることができるのではないでしょうか?

また、年度の途中での退職をする場合、他の教員からのいわれのない噂や陰口などを生んでしまい、さらに居辛くなるケースもあります。

「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがあるように、上手に辞めるタイミングを考え、辞める場合は早めに園長先生に伝えましょう。

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幼稚園就任1年目で辞めたい場合はどうするべき?

できれば1年で辞めず、せめて3年間は幼稚園教諭を続けてほしいのが筆者の考えです。

1年目は、あらゆる業界であっても、右も左もわからず、職場でもなれない環境や人間関係で苦労をすることが多いもの。

ですが、1年目で辞めると、また別の職場での「1年目」が待っています。

  • 1年目で環境や年間行事の流れが分かる
  • 2年目になって自分で考えて行動できるようになる
  • 3年目で環境や人間関係の把握や対処方法がわかり、余裕を持って仕事に取り組める

ようになってくるからです。

「転がる石に苔が生えず」「石の上にも3年」などのことわざの通り、年月を重ねることで、1年目に悩んでいたことの解決策や自分なりの工夫が生まれ、自分自身を社会人としても人間としても成長させてくれるのです。

1年目で幼稚園の先生を辞めず、あと1年頑張ってみると、また見える景色も違ってくるものです。

せめて3年間同じ職場や職種を勤めあげることで、仕事が楽にこなせるようになり、人間関係を円滑に進めるための手段や方法も生まれてくることもあります。

穏便に辞めるための退職理由は?

穏便に辞めるためには、できるだけ園や個人的な人間関係の不満を直接伝えるのではなく、家庭の事情や体調面での不安などを理由にするようにします。

園や人間関係の不満や環境や条件面を理由にすると、「それらを改善したら退職しないで良い」という風に捉えられ、引き留められてしまうこともあるからです。

 

他にも留学や他の勉強などを理由に挙げて辞める場合もあるかもしれませんが、年度途中で辞める場合には、

「若いから来年から勉強したのでも良いのでは?」

「仕事と勉強お両立ができるのではないか?」

と言われ、辞める時期を延期されたりする可能性もあるので、退職理由は慎重に考えていく必要があります。

 

それから、辞める理由を上司にあたる園長や主任に話すまで、同僚に辞めることを伝えるのはNGです。

それは、もし辞めることが上司以外の人に知られてしまうと、残りの期間、仕事をしにくくなったり、職場の雰囲気を乱してしまったりすることもあるからです。

残りの期間の仕事を全うしようとしても、やりにくくなることが懸念されるので、ここは注意が必要です。

また、親しい仲であっても、辞める理由は実際に辞める直前までは伝えないようにし、できれば人間関係や園への不満で辞めるという本音は伏せ、建前を上手に理由に使って辞めるようにしましょう。

自分に合った職場探しを始めませんか?

今よりもっと働く時間を有意義に過ごせるようにしませんか?

保育業界は慢性的な人材不足で、転職先は選ぶほどあります。

 

「もう求人には目を通してみましたか?」

 

きっと、今よりもっと自分に合った幼稚園や保育園が見つかるので、今の幼稚園がどうしても嫌なら、早めに転職を検討するべきです。

辞めた後は、担当した子どもたちのことや職場のことを考えてしまう日もあるかもしれません。

ですが、自分に合わない幼稚園の方針や、人間関係で嫌な思いをして働くことは、仕事に集中できなかったり、ストレスが溜まって体調を崩してしまうなど、デメリットばかりです。

辞める気持ちが固まったら、引継ぎの準備をしつつ、転職活動を行いましょう。

自分に合った雰囲気の職場や、希望条件に合った幼稚園や保育園で資格を活かして自分らしく働くことが、長い人生においては大切なのではないでしょうか。