子どもたちの笑顔は、保育士にとってやりがいを感じる瞬間です。
しかし、保育士の仕事は楽ではないので、充実感はあるものの大変だと感じている方は非常に多く、保育士の働く環境が悪いなど、保育士の処遇改善が叫ばれています。
本記事では、保育士経験者が感じた、仕事での辛いこと、大変だと思うことを本音でお伝えします。
きっと共感していただける悩みがあると思います。
保育士の仕事はブラック企業並み!?
保育士の仕事は、朝早くの早朝勤務から19時や20時までの延長勤務があります。
勤務内は、
- 子どもたちのおむつ替え、着替え、食事など生活面の援助
- 子どもたちへの遊びの提供
- 連絡ノートや書類、日誌、児童票、クラスだよりや園だよりなどを書く
- 園内、園庭の掃除、水やり、遊具の安全点検
- 保護者の対応
- 壁面や行事、制作の準備、翌日の保育の準備
と、すべき業務が山のように毎日押し寄せてきます。
仕事の量が多い上に、残業しても残業代が出ない保育園が多いのも事実です。
その上、保育士同士の人間関係の複雑さや保護者対応もあり、激務と言わざるを得ません。
数えてみたら『12K!?』保育士経験者が本音で語る、保育士の仕事で辛いこと、大変なこと
保育士の仕事を実際に経験してみて思うのは、やりがいがある以上に「きつい」「辛い」と感じる場面が多いです。
よく労働条件の悪い職場を『3K(汚い、きつい、危険)』と言いますが、保育士の仕事で、嫌だったことを数えてみると、なんと『12個(12K)』もありましたorz
どのようなことがきつくて辛かったのか?詳しく紹介していきます。
① 体力的・精神的にきつい
保育士の仕事は、基本的に座っていられることがありません。
食事の時間は、子どもたちの援助を交代で行っているので、ゆっくり食べる暇はありません。
なので、悲しいことに自然と保育士は早食いになる傾向にあります。
担当している子どもの数が多いほど、子どもたちに気を配らなければなりません。
子どもたちは元気いっぱい遊ぶので、場合によっては全力でダッシュすることもあります。
また、「行事前には子どもたちの成長を保護者に見せる」というプレッシャーもあるなど、体力的にも精神的にもきついと感じない日がありません。
② 子ども相手だけではない過酷な肉体労働
子どもを抱っこしたり、遊びに付き合ったりすることは体力を使います。
保育士の仕事では、子どもたちの遊びだけではなく、行事で使う重い荷物を運んだり、(園にもよりますが)プールを組み立てたり、テントを張ったりと重労働が多いです。
女性の多い職場なので、どれだけ重くても自分たちで運ばなくてはならないこともよくあります。
脚立に上って高いところの作業をしたり、園内の樹木の選定をしたり、壊れた備品のオーバーホールをしたりと力仕事を行う場面も少なくありません。
③ 抱っこにおんぶで腰も肩も痛い
0歳から1歳の子どもはお昼寝の時に抱っこやおんぶをしてからでないと寝付けない子どもも多いです。
そのため、お昼寝の時間になると、抱っこひもで一人は背中におんぶして、前で抱っこしながら寝付かせることもあります。
つねに子どもを抱っこ、おんぶをしているから、肩こりと腰痛は保育士の職業病です。
④ うんち、嘔吐の処理が汚い
月齢が小さい子はトイレトレーニングはまだできない子どもがほとんどです。
そのため、おむつ替えや排便の処理などを行いますが、便が付かないように配慮していても、保育士の手や洋服に便が付いてしまうこともあります。
また、小さな子どもは、消化器官が発達していないことから、食事の後に吐いてしまうこともあります。
年齢が上がってきても、体調不良で嘔吐や下痢を起こすこともあり、そういった処理も保育士が行っています。
さらに、よだれや鼻水、涙や汗、食べこぼしなどで服や体が汚れることは日常茶飯事です。
⑤ 夏でもないのに汗で化粧が落ちる
動くことが多い保育士の仕事は、夏以外でも家に帰る頃には、化粧が汗で溶けていることも多いです。
仕事の途中で化粧直しをする時間は皆無です。
なので、化粧が落ちてしまうことを想定して、下地だけのナチュラルメイクや、ほぼノーメーク(すっぴん)に近い保育士も多いです。
途中でトイレに入ったり、帰宅して自宅の鏡を見た時に「わたしの顔ヤバっ汗」ってなることもしょっちゅうなので、職業上仕方のないこととはいえ、難しい問題です。
⑥ 休みたい日に休暇が取れない
人手が足りない保育園が多く、ギリギリの人数でやりくりをしているところが多いです。
そのため、急な体調不良や急用で休むことを言い出しにくく、実際には休みがほとんど取れない保育園もあります。
また、有給休暇があっても、長期休暇で取得することはほとんどできないなど、休みたい日に有休を使えないことがあるのは、この仕事の辛いところです。
⑦ 基本給が低く、年収も300万円未満程度
保育士の処遇改善がなされている最中ですが、まだまだ基本給は安いのが現状です。
仕事の量が多いため、残業することが多いにもかかわらず、残業代が出ない保育園も多いです。
持ち帰った仕事については、休日一日潰れてしまっても当然『無給』です。
基本給が低い保育園に就職している場合は、ボーナスが出ても雀の涙で、正社員の年収は「250~300万円未満」というのが実態です。
保育士の持ち帰りの仕事の悩み・実態と、減らすコツ・ポイントは?⑧ ケガ・体調管理・アレルギーなど、子どもの命を預かっているので気が抜けない
小さな子どもたちは、よく些細なことで転んだり、ぶつかって怪我をします。
怪我を未然に防ぐように配慮していても、思わぬところで事故に繋がることもあります。
なので、遊具や保育室の安全点検はもちろん、遊びの内容も事故やケガがないように考えて進める必要があります。
また、子どもの体調が急に悪くなることもあるので、時間ごとに検温して体調を管理しています。
小さな子どもの場合は、昼寝の間は乳幼児突然症候群をふせぐため、5分毎に呼吸を確認する必要もあります。
また、アレルギーを持つ子どもへの配慮も気が抜けません。
重篤なアレルギーを持つ子どもの場合、アレルゲンが食事に含まれていないか、昼食と2回のおやつのチェックが必要です。
もし、アレルギーのある子どもを担当した場合、誤飲を起こしてしまったら、エピペンや抗アレルギー剤を使用しなくてはならないこともあるので、とくに食事の際は気が抜けません。
⑨ パワハラ!?嫌がらせ!?先輩保育士が厳しい
保育士の仕事は子どもの命を預かっているから、先輩保育士の中には「愛のムチ」であえて厳しい人もいます。
しかし、保育士の中には、「嫌がらせ」や「パワハラ」を行う人がいることもあります。
同性だから気になることもあるため、ちょっとしたミスにも目が行くこともありますし、感情的な暴言を投げかけられてしまうこともあり、先輩保育士の厳しさに心が折れて辞めてしまう保育士もいるほどです。
⑩ 仕事が終わらず家に帰れない
シフトや定時の時間は決まっていても、やるべきことが多すぎて残業せざるを得ない日も多いです。
翌日の保育の準備や、保育室の環境整備、行事の準備などは、子どもがいない時に行うため、勤務時間外に業務を行うことが多いです。
また、保育園の風土もありますが、「主任や先輩保育士より先に帰ってはいけない」という暗黙のルールがある保育園もあるほどです。
自分の仕事が終わっていても、先輩保育士の仕事を手伝っていて、結局残業してしまうことも少なくありません。
⑪ 出会いもなく、忙しすぎて結婚できない
保育士は9割以上が女性の職場なので、全く異性との出会いがありません。
紹介やお見合いなど、上手に婚活をしないと出会いの場には恵まれない職場です。
たとえ、お付き合いしている人がいても、行事に追われたり、クラス担任をしていると忙しすぎて結婚するタイミングがつかみにくく、休暇を取得できないことから、手続きや引っ越し、新婚旅行に行く時間が取れず、結婚するまでに時間がかかる保育士もいます。
⑫ 「子どもの模範となるのが大事」だから規則が厳しい
保育士は、衛生面や安全面から、ピアスや長い爪マニュキュアは原則として禁止している保育園が多いです。
長い髪の毛はまとめるように言われることもあります。
また、服装にも厳しい保育園もあり、保育園指定のジャージや帽子の着用や、エプロンを着用することが必須と言われたりする場合もあります。
華美な服装や肌が露出するような恰好は、保育園だけでなく保護者からのクレームの対象にもなります。
逆に全身真っ黒の格好もNGです。
子どもの情緒を育むために、暗い色はダメと言われる保育園もあるでしょう。
好きな恰好や自由な恰好はご法度で、できるだけ動きやすい、汚れても良い恰好が基本となります。
保育士はきつくて嫌な仕事も多い。だれど、やりがいも大きい仕事
保育士の仕事は、きつく、辛いことも多いです。
しかし、子どもの成長を一番近くで感じることができることや、子どもの笑顔に癒されるやりがいのある仕事です。
保育士の仕事は、0歳から5歳児まで全年齢児を担当して、やっと1人前という厳しい世界ですが、経験を積むごとに自分の保育の仕方が確立していきます。
辛い、きついだけではない、人を育てることの喜びを感じられる保育士という職業は、やりがいを最大限に感じることのできる素晴らしい仕事です。
もし、今仕事が辛くてやめたいと悩んでいるなら、ネガティブな側面だけでなく、ポジティブな面に焦点を当てて過ごしてみて下さい。
悪い点ばかりに目を当てても、いい結果は絶対に生まれません。
ただ、無理してまで働くことはありません。
どうしても続けることが難しいなら、あなたらしく働ける職場を探してみることも必要です。
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